新型アウディA6に試乗 ベンツ・BMWを抜けるか

中身にエライお金をかけている

走りは走りで、ハデさはないがなかなかのもの。これまたトータルバランスが凄く、ボディは、全長×全幅×全高で4930×1875×1465mmと旧型より微妙に大きくなっているが、乗ると小さくなった感じさえする。

ベースは、少し前に出たA7スポーツバックと同じ新世代ものだが、小さくなった分より締まった印象で、これは5m級の全長を持ちつつも1.8トン前後と軽い車重も関係している。

なにしろボディ単体は旧型比で30kgも軽量化しており、ボンネット、フェンダー、ドア、トランクリッドとボディ部材の2割以上をアルミ化。骨格には軽くて強い超高張力鋼板やアルミ押し出し材を多用し、中身にエライお金をかけているのだ。

加え、得意のクワトロ＝フルタイム4WDシステムはセンターデフにA6として初めてクラウンギアを採用。これにより前後トルク配分レスポンスが向上しただけでなく、新たにトルクベクタリングシステムも搭載。これにより左右タイヤのトルク配分まで可能になり、よりステアリングに頼らず、スムーズに曲がれるようになったのだ。実際、フロント車軸位置を前にズラした分、ホイールベースが65mmも伸びて、動きはダルくなりがちなものだがそうなってない。

大きく、幅広くなりつつも軽量化やハイテク、足回りのセッティングでハンドリングのキレは向上。この辺りが新型A6の白眉だ。

エンジンは最新型のダウンサイジング系直噴V6。2種類あって、1つは既にA8などでお馴染みの3リッタースーパーチャージャーで、300psの強大なパワーもさることながら、わずか2900rpmで44.9kgmの巨大トルクを発揮。これを最新のツインクラッチ7速ミッション＝Sトロニックが効率よく路面に伝える。ちなみにアイドルストップ機構付きだ。

ただし、これは従来からあった組み合わせで、今回の注目は2.8リッターノンターボ。コチラは最高出力こそ204psと低まったが、最大トルクは28.6kgmをキープし、しかも自然吸気でありつつ発生回転数が3000rpmからと低くなっている。よって非常に扱い易いだけでなく燃費が大幅向上。特に今回は7速Sトロニックやアイドルストップ機構が組み合わされて、10･15モード燃費でリッター11.0kmを達成。テスト中でもリッター10kmを切ることはほとんどなかった。

この辺りのエココンシャスなアップデートぶりはさすがにアウディだ。