2006年に全米デビューしてから4年を経たユニークSUV「FJクルーザー」が年内にも正規で発売されることになった。既に並行で出回ってるから知っている人もいるだろうが、率直な感想は「今頃なぜ?」というものだ。
FJクルーザーは言わばVWニュービートルやBMWミニなどと同様のリバイバルカーで、現行ランドクルーザーをベースに、50年前の名作4WD、初代ランクルこと“40系”のガワを被せたもの。ただし、見れば分かる通り、サイズやデザインは明らかにアメリカ狙いで、今まで国内では販売されてなかった。ところが熱狂的ファンからの要望が高く、今回入れることになった…というのが公式的見解だ。
加え、北米では2万ドル台から売られているので、正規販売されたら、円高はダイレクトに反映しないまでも300万円前後から入ってくるだろうし、新車並行に比べ、100万円前後は安いわけだから朗報には違いない。
とはいえこのエコロジー時代。環境に配慮しているとはいえ、4リッター級エンジン搭載のSUVは売りにくく、「今さら」という疑問を拭い切れない。そこを不肖小沢があえて解き明かしてしまうと、キーワードはおそらく“AKIO”、つまり去年トップに就任した豊田章男社長の存在にある。ご存じ章男社長はカーガイ=クルマ好きであることを公言しており、クルマを沢山売るだけでなく、その“質”であり“愛情”を高めようとしている。
肝心のFJクルーザーだが、見た目とはウラハラにかなりの本格派。それはベースにナンパなモノコックSUVではなく、フレーム付きクロカン4WDのランクル・プラドを使っていることからも伺え、駆動システムにしても基本そのパフォーマンスを落としてない。べース車そのままの方が安く作れる理由もあるだろうが、それ以上に“本物の味”をユーザー、特に若者に提供しようとしているのだ。
その昔、読売巨人軍は少年ファンを厚遇したというが、それに近い。FJクルーザーのカッコ良さに釣られて引き寄せられる若い人こそ、本格SUVの味に触れ、魅せられて欲しい。それが社長の真意であり、これはある意味、損得ぬきの正規導入なのである。
試乗ステージ:富士スピードウェイ周辺 車種:FJクルーザー
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