トラックドライバー不足をどう乗り越えていくか? ミシュランのセミナーに行ってきた
掲載 更新 carview! 写真:編集部
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日本ミシュランタイヤは昨年の11月末日、輸送業界におけるドライバー不足をテーマとしたセミナーを開催しました。トラックドライバー不足は近年ニュースでも取り上げられる社会的な問題。このセミナーには約40社の運送会社が参加し、登壇者の話に耳を傾けました。
そもそもドライバー不足は本当に起きているのでしょうか? 日本ミシュランタイヤの調査によると、実はドライバーの数や輸送トンは数十年大きくは変わっておらず、問題はここ最近の物流や環境の変化によるもので、特に大きく影響しているのはEC市場成長による時間指定、即日配送などの過剰サービス化。
加えて労働時間管理の厳格化や過積載の取締強化が行われたことで、輸送量が低下。すなわち、ドライバーがオーバーワークしなければ成り立たなかったというブラックな労働環境が顕在化したわけで、労働環境こそ良くなったものの一人当たりの労働時間が減ったことによって、人手が足りなくなるという事態になったわけです。
そしてもう一つの問題は20代、30代のドライバーが減っているということ。今後若い世代が入ってこなくなると、ドライバーの数はますます減っていきます。こういった状況に対してどのようにしていけばよいのか? 千葉県富里市にある運送会社「株式会社トランスウェブ」の前沢社長が、ドライバー確保のために行っている様々な取り組みを紹介しました。
トランスウェブが保有するトラックは全部で100台。内訳はトレーラーを牽引するトラクターが50台、大型トラックが25台、4トントラックが25台で、トレーラーは70台保有しています。トラクターは全車スウェーデンのトラックメーカー「スカニア」のもの。スカニアを使う理由は2つあり、1つはドライバーの満足度向上のためで、スカニアのトラックに乗れるということがドライバーのモチベーション向上になるのだそうです。もう1つは、主な業務である車両輸送において輸入車を輸送することが多いことから、クライアントへのイメージアップになるためです。
他にも社内・構内美化の徹底、駐車場すべてをアスファルト化、デザインにこだわったユニフォームの採用など、徹底的に環境を整え、トラック業界にありがちだった「汚い」「埃っぽい」というイメージを払拭し、「働きたい」と思ってもらえる職場を作り上げました。成績優秀者は新車のスカニアをドイツから交代で運転しながら1万2000km走破して日本まで帰ってくるという、トラックドライバー冥利に尽きる報奨旅行に行くことができたりします。
外国製トラックを使ったりヨーロッパへ報奨旅行に行くというのは小規模の会社ではなかなか難しいとはいえ、トラックの種類がドライバーのモチベーションを変えるというは、門外漢の編集から見てもちょっと新鮮でした。
「今後、タイヤ業界も人手不足になっていくでしょう」。というのは日本ミシュランタイヤB2B事業部の尾根山さん。タイヤ交換作業をする人手も減り、その長くなるであろう待ち時間などをどうしていくかが今後重要になっていく可能性があると言います。その対策としてミシュランでは偏摩耗を抑制しローテーション回数を減らしたタイヤや、タイヤの状態をクラウドで管理する「TPMSクラウドサービス」など、タイヤから出来る効率化を提案しています。
講習会ではミシュランが展開する「リグルーブタイヤ」のリグルーブ体験が実施されました。リグルーブタイヤとは、タイヤ溝が減ってもあらたに溝を掘ることで継続して使うことが出来るタイヤで、施工することで使用可能距離が25%延長されるそうです。施工はミシュランが開催する講習を受ければどこでも可能だそうで、自社工場などでも出来るようになります。講習は30分~1時間程度。実際に編集が体験してみましたが、思っていた以上に簡単にタイヤに溝を掘ることができました。掘るパターンはタイヤによっていくつかあり、用途に合わせた仕様にすることができます。
方々から聞こえてくる「人手不足」。輸送業界も対策には地道な努力やチャレンジ、そして効率化が重要なようです。まだ抜本的な解決策は見えてきませんが、これからもいろいろなところからアイデアが出てきそうな気配を感じたセミナーでした。
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