Eクラス クーペの技術 文系もわかるエコ解説
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
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発進した直後から、分厚いトルク感に驚かされた。わずか1.8リッターという排気量であるにもかかわらず、まるで3リッター超級のエンジンのように大きな手で腰のあたりを押されるような力強い発進をする。これは従来のターボエンジンにはなかったフィーリング。立ちあがりの速い小型ターボに加え、直噴化による高圧縮比化が、ターボエンジンにありがちな発進直後のスカスカ感をきれいさっぱり拭い去っているのだ。
街中の流れに付いていく程度なら、アクセルペダルの踏み込み量はほんのわずかで十分。5速ATはトントントンと素早くシフトアップを繰り返し、1500rpm前後という低い回転数を使いながら着実に速度を上げていく。巡航から加速に移行する際も、アクセルを意識的に深く踏み込まなければキックダウンは起きず、5速ホールドのまま頼もしい加速を演じる。となれば当然、実用燃費は向上するが、豊かな低速トルクは力強い運転フィールと優れた静粛性にも貢献している。
そうはいっても、600万円台の高級車に4気筒エンジンはどうなのよ? と思うかもしれない。たしかに、V6と比べれば上まで回したときの回転フィールにわずかな雑味はある。しかし、徹底した遮音対策とバランサーシャフトによって、そんじょそこらの4気筒とは別物と言っていいほどの静粛性とスムースさを実現しているのも事実であり、得られるメリット(燃費と鼻先の軽さ)を考えれば取るに足らない些細な弱点にすぎない。もちろん、V6にはV6の美点があるが、僕がもしEクラスクーペを買うなら迷わず250CGIを選ぶだろう。
気になる燃費だが、高速道路をノンビリと法定速度内で流せば13km/L台は確実にいく。一般道は信号の数や渋滞によって大きく変わるが、さほど混雑していない状況なら10km/L程度を期待していい。つまり、実用燃費が、10・15モード燃費の11.2km/Lを上回ってくるケースも少なくないということだ。
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