タクシーではメジャーな「LPG車」が日本で普及しないワケとは。環境、価格安定性などメリット多数でも依然ハードルは高い

トヨタ ジャパンタクシー

普及へのハードルは高い

ある業界関係者は、LPG車の今後について次のように話します。

「LPG車が一般市場で存在感を示すには、3つの条件を満たす必要があります。

第一にインフラの拡充です。現状では都市部にスタンドが集中し、地方では燃料補給そのものが難しく、ガソリンやEV充電と同等の利便性を実現できなければ、普及は望めません。

第二に商品性の強化です。燃費効率や積載性といった実用面を改善し、タクシーや商用車に限定されない乗用モデルを拡充することが不可欠です。

第三に政策の支援です。ハイブリッドやEVが補助制度によって普及を後押しされてきたように、LPガス車にも環境性能を評価したインセンティブが必要であると考えます。

ただ、LPガスは二酸化炭素や窒素酸化物の排出が少なく、依然として環境面での優位性を備えています。技術改良や制度設計次第で、持続可能な移動手段の一角を担う可能性はあります。

インフラ、商品性、政策支援のバランスが取れれば、LPG車は一般ユーザーにとって現実的な選択肢となり得るでしょう」

このように、LPG車は環境面において優れていますが、普通車への普及にはハードルが多いのが実情です。

（終わり）

（写真：トヨタ、日産）