タクシーではメジャーな「LPG車」が日本で普及しないワケとは。環境、価格安定性などメリット多数でも依然ハードルは高い

トヨタ ジャパンタクシー

なぜ乗用車へ普及しないのか？

LPG車はタクシーや商用車を中心に利用されていますが、一般の乗用車にはほとんど普及していません。

その理由のひとつはインフラの制約です。ガソリンスタンドに比べてLPガススタンドは圧倒的に数が少なく（1/20前後）、地方では給油拠点が見つからないことも珍しくありません。

普段使いのクルマにとって燃料補給のしやすさは所有する上での大きな条件であり、この点が大きな普及の壁となっています。

また、LPガスは燃費効率がガソリンより劣る場合が多く、同じ距離を走るためにより多くの燃料を消費します。燃料価格の安さである程度は相殺されるものの、トータルコストの面で大きな優位性を感じにくいのが実情です。

さらに、LPG車は専用の燃料タンクを必要とするため、ラゲッジルームの使い勝手などに制約が出るケースもあります。

加えて、メーカーのラインナップが極めて限定的であることも普及しない要因です。

一般ユーザーが選べる車種はほぼ存在せず、需要がタクシーなど業務用に偏っているため、新型の開発もほとんど進んでいません。

環境性能を理由にガソリン車の代替を探すなら、ハイブリッド車やEVの方が選択肢も多く、補助金制度も整っているため、結果的にLPG車は一般市場では存在が薄くなっています。