シトロエンDS5、アバンギャルドなニューカマー
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:プジョー・シトロエン・ジャポン
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:プジョー・シトロエン・ジャポン
ニースの外れからオートルートに乗ってカンヌ方面に至り、その裏山のワインディングロードを走破、そこからオートルートと一般道を使ってキャップフェラに戻る変化に富んだメインのテストルートで最初にステアリングを握ったのは、日本への導入が決まっているTHP155だった。そこで、シトロエンにとってはどうやらブレーク=ステーションワゴンの変形というイメージのデザインであるらしい、DS5の5ドアボディに乗り込む。
キャビンに収まると、DS4がC4と共通のダッシュボードやコンソールを使っているのと違って、すべてがDS5のためにデザインされたオリジナルで成り立っていることに気づく。しかもそのダッシュやコンソール、あるいはレザーシートの表皮のパターンなどがいずれも個性的で、シトロエンが主張するフランス風エレガンスはここにも漂っていた。
にもかかわらず、エクステリアを含めて、そういったデザインのために居住性や実用性が疎かにされている印象がないのもシトロエンらしいところで、リアシートには2人の大人が楽に座っていられるし、その後方のラゲッジルームにも充分な空間が確保されている。ただし個人的には、ドライバーズシートがあまり低くならないのが少々不満だったが。
走り出してみると、DS5のTHP155はスポーティな感覚と快適さがバランスした、好ましいクルマだった。ボディは全長4.5mを超える大柄なサイズだが、車重は1420kgとルックスから想像するより軽く、155psの1.6リッター直噴ターボとアイシン製6段ATの組み合わせは充分なパフォーマンスを実現していて、踏めば爽快な加速を味わわせてくれる。
だがそれにも増して印象的だったのは、C4系をベースにホイールベースとトレッドを拡大したシャシーがもたらす、乗り心地とハンドリングだった。オプションの18インチタイヤを履いた脚は、街中の不整路では若干ゴツゴツした感触を伝えてくるが、スピードを上げるにつれて乗り心地はスムーズさを増し、高速ではシトロエンらしいフラットな快適さを実感させる。と同時に、繊細なフィールを持つ電動油圧パワーステアリングを操ってのハンドリングも好ましく、大柄なボディながらワインディングを意のままに愉しめる。
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