常態化する【トヨタ一強】時代。なぜ日本市場の“地盤沈下”にライバルメーカーは“無関心”を装うのか？

トヨタ アルファード

「トヨタ一強」はユーザーにとってデメリットも？

また、前出のある業界関係者は「こうした状態が長く続くのは、ユーザーにとっても好ましくない」と指摘します。

「クルマに限った話ではありませんが、あらゆるモノやサービスは、競争によって成長します。

簡単に言えば、ライバルがいなければ成長は見込めず、ユーザーが不利益をこうむる可能性があるということです。

極端な例ですが、もし仮にトヨタ以外の自動車メーカーが国内市場から撤退してしまった場合、あるいはトヨタがすべての自動車メーカーを傘下におさめてしまった場合、当然のことながらそこに競争は働きません。

競争相手がいないとなれば、トヨタが可能な限り値上げをすることは確実です。

『日本を代表する企業であるトヨタがそのようなことをするわけがない』と考えるひともいるかもしれませんが、高く売れるのに高く売らないということは、株主の利益に反する行為です。

言うまでもなく、そうした状況はユーザーにとってメリットがあるとは言えません。

もちろん、独占禁止法などの法律もあるため、そこまでの状況になる可能性はまずありません。

しかし、『トヨタ一強』の状況が長く続けば、遅かれ早かれユーザーにとってデメリットが発生することは確実です」

近年ではBYDをはじめとする中国の自動車メーカーが日本に積極的に進出しており、長期的視点で見ると、トヨタとしても安穏とはしていられない状況です。

ただ、日本経済全体のことを考えると、国内企業との競争が増えるほうがメリットがあることは言うまでもありません。

そういった意味では、日産やホンダをはじめとする日本の自動車メーカーの奮起に期待したいところです。

（終わり）

（写真：トヨタ、日産、ホンダ、BYD）