【隠す美学の原点】現代のBMW「M5」が失ったものを初代「M6」は持っていた…官能的なシルキーシックスの記憶
掲載 carview! 文:koensha 13
掲載 carview! 文:koensha 13
BMWを代表するリアルスポーツセダン「M5」に試乗した。2024年10月に登場した「G90」型の最新モデルである。
筆者は、かつて3代目と4代目のM5をプライベートで所有していたこともあり、今回の試乗には大きな期待を寄せていた。
現行7代目となる最新型は、時代の要請に応え電動化されながら、むしろ過激に進化していた。パワートレインは585psの4.4L V8ツインターボに電気モーター、22.1kWhの駆動用バッテリーを組み合わせたPHEV(プラグインハイブリッド)で、システム最高出力727ps、最大トルク1000Nmを発揮する。
しかも、満充電時には75km(WLTCモード)のEV走行も可能。圧倒的なパワーと環境性能を両立しており、まさに“現代のM”であると感心させられた。
ちなみにこのPHEVシステムは、すでに高い評価を得ている「XM」のパワートレインをリファインしたものであり、信頼性やドライバビリティも折り紙付きである。
走行フィールは、まさに圧巻だった。モーターで走行している最中でさえ、常に“エンジンの存在感”を感じさせるのだ。
MのエンジニアがV8サウンドを見事に調律し、EV走行中も状況に応じてキャビンに快音を響かせる。タコメーターがゼロを指しているにもかかわらず、車内には力強いV8の息吹が宿る。
これはただのサウンド演出ではなく、「心地よい走りには音が不可欠」という開発思想に基づく演出である。
加速時にはその音がリニアに変化し、エンジンが始動しても一切の違和感がない。機械的なトルク移行だけでなく、感覚的な“Mらしさ”までシームレスに統合されていた。
この仕上がりには、従来からのエンジンファンも納得するに違いない。電動化されても“主役はエンジン”。そんな強い信念が、新型M5には息づいていた。
ただし、造形はお世辞にもエレガントではない。全身からパフォーマンスを主張するアグレッシブな造形は、高性能車としては正解なのかもしれないが、筆者としては、もう少し“隠す美学”を好む。
そう思ったとき、自然と脳裏に浮かんだのは、初代「M6」の美しいシルエットだった。
(次のページに続く)
#M5 #M6 #BMW #6シリーズ #PHEV #シルキーシックス
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