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怒りを抑え事故を減らす「仏教運転術」のススメ

お手軽に始める簡易版「仏教運転術」のコツを伝授

とはいえ、「1~3のすべてを毎回意識するのはめんどくさいよ」という意見もあるだろう。そりゃそうだ。筆者も、実はちょっとめんどくさいと感じている。

そのため、本当は1~3を順に意識したうえで4の「涅槃寂静」に至るのが王道だが、デイリーユースな簡易版として「1の一切皆苦だけを強く意識する」という手法をとりあえずはおすすめしたい。

1の概念さえしっかり押さえることができたなら、運転中に心を乱される事態は今後ほとんど発生しない。なにせ一切皆苦、つまり「私たちの世界は、自分の思い通りにはならないことばかりである」とわかったのだから。

せっかく早起きして時間の余裕をもって出発したのに、事故渋滞のせいでスケジュールが台無しになったとしても、「ま、そりゃそうだよね。だって、世の中は思い通りになんかならないんだから」で話は終わるだろう。「早く出たから早く着く」という考え自体が思い上がりなのだ。間違っているのだ。釈迦的には。

また、公道を走っていれば無礼なドライバーに遭遇することもあるだろう。最近話題の「煽り運転」なんてのにも遭遇するかもしれない。

だが大丈夫だ。

仏教運転術を会得していない場合、そういった時に思わずカッとしたり、過剰にオロオロしたりするかもしれない。

しかしこちとら「一切皆苦」を理解し実践しようとしている求道者だ。「あぁ、ハイハイ。また出ましたね、馬鹿が。知ってました」というだけで、その件に関する反応は終わる。そしてサクッと左側車線などに逃げて馬鹿を先に行かせ、自分は再びクールな安全巡航に戻るのである。

その馬鹿があまりにも馬鹿で、路肩などで暴力的な手段に訴えてきた場合も、ドアを確実にロックしたうえで「知ってました。じゃ、警察に電話します」とばかりに110番通報する。そして後は何があっても知らん顔で放っておく。なにせこの世は一切皆苦なのだから、「生きていれば、運転していれば、こういうことだって起こるよね」などと思いながら。

以上のとおりの「仏教運転術」を開発した筆者だが、つい先ほど、さっそく自らの信仰が試される機会が現れた。

C2(首都高中央環状線)のとあるジャンクションで、かなり無礼な改造済み商用軽ワンボックスが、かなり無茶な(こちらが初心者だったら事故ってもおかしくないほどの)いきなりの割り込みをカマしてきたのだ。

当然ながらわたくしは仏教徒、ではなく仏教運転術の信徒なので、「あぁハイハイ、知ってました」というニュアンスでそれをクールにやり過ごした。怒りの感情はほとんど沸かなかった。信仰の勝利である。

だが告白すると、それは「ほとんど」であり、「まったく」ではなかった。

仮に激おこMAXを100とするならば3か4、あるいは6か7ぐらいのわずかな怒りの感情が去来するのを、わたしは確実に感じていた。

「まだまだ修業が足りないな」

そう独りごちながら、わたしは「イッサイカイク、イッサイカイク、イッサイカイク…」とのフレーズを、脳内でリフレインさせたのだった。

(ジャーナリストコラム 文:伊達軍曹)
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伊達軍曹(だて ぐんそう):自動車コラムニスト
外資系消費財メーカー勤務を経て自動車メディア業界に転身。「IMPORTカーセンサー」編集デスクなどを歴任後、独自の着眼点から自動車にまつわるあれこれを論じる異色コラムニストとして、大手メディア多数で活動中。

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