「クルマの魂はエンジン」。フェラーリの最新V8プラグインハイブリッド「849テスタロッサ」の名に込められた真意とは

テスタロッサ

1984年登場の「テスタロッサ」のオマージュではない

1984年に登場した「テスタロッサ」の復活という指摘もある今回の「849テスタロッサ」だが、そのデザインは、歴代の様々なレーシングカーの要素を取り入れつつ空力性能の最適化に重点が置かれており、懐古主義でもなければ単なるリバイバルでもない。

1970年代のレーシングカー「512S」のツインテールからインスパイアされたリアのアクティブスポイラーを採用し、ブラックに縁取られたサイドの吸気口は、インタークーラーへの空気流入量を30％増加。1970年代のスポーツプロトタイプから得たインスピレーションにシャープで幾何学的なラインを組み合わせ、総ダウンフォース量は250km/hで415kgと、SF90ストラダーレ比で25kg増加している。

また、高性能版のオプションパッケージ「アセット・フィオラノ」を選択した場合、フロント底面にボルテックスジェネレーターが追加され、リアはツインテールからツインウィングに変更される。これにより、標準仕様よりも約3倍のダウンフォースを発生し、約30kgの軽量化が図られる。

「12チリンドリ」や「F80」でもみられたフロントのヘッドライトブリッジをはじめ、未来的な要素にハイテクデバイスを取り込みつつも、どこか歴代モデルのエッセンスが随所に感じられる849テスタロッサ。何かに似ている気もするが、何にも似ていないその独自のデザインは、「デザイナーとエンジニアが、機能性と美しさの両立のために一緒になって密接に取り組んだ結果（スペッソット氏）」だそうだ。