【知らなきゃ損】実は“革シート＝動物が可哀想”じゃなかった。専門家が語るレザーの真実と、捨てられる牛皮“45％”の衝撃的現実

ロールス・ロイス カリナン

革は文化であり、副産物であるという揺るぎない事実

最近の自動車メーカー各社では、そういったヒステリックな反応からの本革シート不採用という動きは止まってきました。もちろん、最適な素材として、本革を超えるような合成皮革・人工皮革も開発をするべきだとは感じます。

また、一般に動物から取れた皮を革製品の材料となる革にする（これを「なめし」と言います）際に使用するクロムを使わないなめし方法や、使用していてもそのクロムを取り除いて肥料とするリサイクルも実現しつつあります。ちなみに、なめしに使用されるのは無害な3価クロムで、公害問題となった6価クロムは使用されていないし、3価クロムを焼却しても6価クロムが発生しない技術も確立しているそうです。

太古の昔から人間は動物の皮をうまく利用し、丈夫で長持ちする製品を生み出してきましたし、それゆえ高価な製品としても取引されてきました。それは文化と認識しても間違いないでしょう。

いずれにしても、人類が肉食を止めない限り皮は発生します。その皮が無駄に廃棄されると考えると、牛たちも浮かばれないと感じます。

もっと革製品を有効に、かつ身近にありがたく使いたいものです。次に革シートのクルマに乗るときは、今までより少しありがたみを感じながら着座したいと思います。

（終わり）

（写真：小林 和久、レクサス、メルセデス・ベンツ、ベントレー、ロールス・ロイス）