トヨタ、福岡バッテリー工場の着工を再延期。EV市場の冷え込みで投資判断を再考

トヨタ bZ4X

あえて急がず市場を見ながら動くのがトヨタの手法

福岡工場の再延期は、一見するとトヨタの出遅れのようにも映りますが、同社らしい慎重な判断といえます。

世界のメーカーがEVに一斉に傾いた時期にも、トヨタはあえて急がず、市場を観察し続けてきました。その姿勢はいまも変わっていません。確実な需要の拡大を見極めてから投資に踏み切るという方針です。

実際、欧米や中国では一部メーカーが生産縮小や値下げを余儀なくされています。トヨタはそうしたリスクを避けるため、設備投資を焦らずに進めています。

新工場を急いで建設しても、需要が伴わなければ稼働停止や部分稼働に陥る可能性があります。慎重な姿勢は、現実的なリスクマネジメントでもあります。

「動かないトヨタ」とも評されますが、その裏には、長期的な競争力を維持するための計算があります。市場が再び成長軌道に乗るとき、トヨタが次の一手を打つ可能性は高いでしょう。そのタイミングがいつ訪れるのか、トヨタは確実な一歩を探っています。

（終わり）

（写真：APOLLO NEWS SERVICE、トヨタ）