A7スポーツバック登場 クワトロにも驚きの進化

アウディでもっとも欲張りなモデル

いつもならクルマの周りを一周してすぐに試乗に出かけるが、誰かに強要されたわけでもないのに、 気が付いたらかなり長い時間を費やして外装を見ていた。アウディのラインナップに新しく追加されたA7スポーツバックの魅力は、そのスタイルから始まる。

一見すると、メルセデス・ベンツ CLSのようなクーペースタイルのセダンに思えるが、テールゲートがリアガラスと共に大きく開く5ドアハッチバックだ。その狙いは、セダンの快適性や高級感と、ワゴン（アバント）の広い荷室が生み出す高い実用性、さらにはクーペが持つ優美なフォルムを兼ね備えることにある。3つのカテゴリーの良さを併せ持つ、アウディでもっとも欲張りなモデルとして登場したのだ。

ボディサイズはハッチバックという表現を使うことに抵抗感を覚えるほど大きく、3サイズは4990×1910×1430mm。フラッグシップセダンであるA8と、アッパーミドルサイズのA6の、まさに中間サイズだ。全高を低く抑えつつ1.9mを超える全幅とのびやかな5m近い全長により、ドシッとした重厚感ともいうべき存在感を漂わせている。

その迫力に圧倒され、様々な角度からA7を眺めてみる。人によってサイドフォルムが好きとか、リアスタイルが良いなど意見は様々だが、一周してみればどこかの角度で目が止まるに違いない。個人的にはヘッドライト周りやリアコンビネーションランプの造形美に目を奪われた。特にリアは内部に立体的に見えるリング状の加飾が施されており、その美しさは工芸品レベルと言いたいほど。

こうしたディテールは走行中に鑑賞できるものではないし、人によっては過剰と感じるかもしれない。だが、オーナーの満足度を確実に高める要素のひとつとして、常にこうしたこだわりを継続しているからこそ、近年、アウディのプレミアム性が急上昇しているとも言えるだろう。