NAロードスターで美しきタイムスリップ。純度の高い初期型が欲しいなら…
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
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厳密に言えばロードスターが模範とした70年代のスポーツカーたちにはパワーステアリングなどなかったし、燃料供給だってインジェクションではなくキャブレターだった。言ってみればNAロードスターが織りなすクラシックテイストは“雰囲気”だけを楽しむお手軽な模倣で、このクルマがデビューした89年当時、まだ若かったクルマ好きのボクにはこうしたチック・チューンが許せなかった記憶がある。
だからNAロードスターをより本格的にカフェ・レーサーへと仕立てた「M2 1002」などには本気で憧れたものだったが、当時最も安いグレードで170万円だったロードスターが、まさに倍近い300万円(しかも300台限定)という価格に設定されていたこともあり、それは正に夢のまた夢的な存在だったなぁ……なんて、当時の記憶が一気にあふれ出して来た。
だが可笑しかったのは、当時そんな“クラシックの模倣品”であったNAロードスターが、今乗るとすっかり本物のクラシックになってしまっていることだった。それは単なる古いスポーツカーになってしまったという意味ではない。むしろ現代のクルマに慣れ親しんだ体で改めてNAロードスターに乗ると、これがクルマの愉しさの本質を捉えていることに気づくのだ。
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