日本の自動車産業は世界に遅れをとってはいない、その強力な実例とは?
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久
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そこで2015年、HORIBAはイギリスのMIRA社の買収という大胆な施策に打って出て、世界の自動車業界を驚かせた。元々はイギリス政府の研究機関として設立されたMIRA社は、バーミンガム近郊の東京ドーム約60個分という広大な敷地に、高速から市街地を模したものまでの様々なテストコース、各種計測、分析システムなどを有する車両エンジニアリング、試験設備提供に関して世界でも五指に入るほどの巨大な施設を持つ。
イギリスの自動車ブランドの多くは、様々な領域の開発をここに委託している。自社で風洞設備を持たず、空力関連の開発はすべてここで行なっているブランドもあるほどだ。もちろん、顧客はイギリス国内だけには留まらない。まさに自動車業界にとって無くてはならない会社のひとつである。
ちなみにHORIBAのMIRA買収は、ディーゼルゲート発覚の直前の話であった。奇しくもHORIBAの排ガス測定器が大きな役割を果たしたディーゼルゲートによりEVの注目度が高まったわけだが、HORIBAの動きはそれに先んじていたわけだ。
MIRAの買収によりHORIBAは、車両の設計、エンジニアリング技術やテスト施設運営のノウハウを取得し、これらを今まで培ってきた計測、分析技術と組み合わせることにより、自動車開発の全領域を網羅できるようになった。特に、自動運転、電動化モビリティなど従来無かった、そして大きな将来性が見込める分野にまで、ビジネスの領域を拡大することが可能になったのは大きい。
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