【君子は豹変す】VW新型「ゴルフ“8.5”」試乗。ネガを克服し「やっぱり素晴らしい」と思わせる出来だった
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹、フォルクスワーゲン グループ ジャパン 19
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹、フォルクスワーゲン グループ ジャパン 19
この必要最小限なパワーを発揮するパワートレインに熟成されたボディが組み合わせられることで、最新の“ベーシックゴルフ”は、“飛び道具”のような特別なフィーチャーはないが、全体がそこはかとなくいいという、歴代に共通する魅力をもっていた。
ドライブモード選択はできるが、昨年後半に相次いで日本導入を果たした最新の「ティグアン」や「パサート」のような電子制御サスの「DCC Pro」は設定がないので(GTIにのみDCCのオプション設定あり)、場面によって乗り味を変えることはできないが、絶妙なセッティングに決めてあって、路面を選ばず快適に走らせることができた。
ベーシックグレードのアクティブの場合、エンジンパワーは必要最小限ではあるが、ジェネレーターを兼ねたモーターがほんのり発進をアシストしてくれる。“してくれているような気がする”といったレベルだが。
そのため鋭い加速で刺激や満足感を得られるタイプではないが、ひとたび高速巡航になってしまえばこっちのもの。高い直進安定性によってクルマ全体の精度の高さを感じながら、疲れ知らずで長時間走らせられる。
装備を簡素化させた「eTSIアクティブベーシック」なら349万9000円、試乗した「eTSIアクティブ」が379万9000円と昨今の円の弱さを考慮すればリーズナブルといえる価格だと思う。
VWグループ全体が示す将来の電動化戦略はすっきり明瞭とは言いがたいが、それとは別次元の話としてゴルフはやっぱり素晴らしい。新鮮さ、新しさはないが、多くのクルマ好きは新しいものではなく良いものを求めているのではないか。
新しい、例えば電気自動車もよいものかもしれないが、そうだとしても従来よかったクルマがダメになるわけではないはずだ。ゴルフは8.5世代目も相変わらずよかった。
(終わり)
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