電動化に突き進むフォルクスワーゲン成功のカギはスマホ化にあり? 開発の最前線を取材した
掲載 更新 carview! 文:石井 昌道/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:石井 昌道/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
バッテリーの生産に関しては当面の目処が立っているが、その他のBEV本格普及へ向けての課題に対しても理論武装はできている。電力量に不安が出るのでは? という問いに対しては、たとえばドイツで100万台のBEVが販売されるとしてその電力消費量は2.4TWh/年。ドイツ全体の年間電力消費量は517TWhなので約5%にすぎず、大きな問題にはならないだろうとのこと。2.4TWh ÷100万台=2400kWhなので、仮に電費を7km/kWhとすると、1台あたりの年間走行距離は1万6800kmということになる。
インフラに関してはフォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェといったグループの他、BMW、ダイムラー、フォードと共同で「IONITY」という急速充電ネットワークを展開していく。2020年末までに欧州で400カ所の急速充電ステーションを設置。各ステーションには2~12基の充電器が配置され、合計2400基以上。120km間隔を予定している。
日本の高速道路SAなどでは急速充電器がたった1基しかないところも多く、充電渋滞が起こりがちだが、IONITYはSAでは6基以上を設置。これから普及する125kWならば1分あたり10km分の充電が可能になるので単純計算すると30分で300km分になり、さらに350kWのCCS Combo2も準備が進んでいる。フォルクスワーゲンの想定では充電の25%が公共の充電ステーションで、5%は高速道路となっている。
なぜフォルクスワーゲンがここまで電動化に前のめりなのかといえば、その動機は気候変動の防止に対する責任を果たすためだ。パリ協定の目標である、産業革命前に対して2050年の平均気温上昇を2℃以下に抑えることをコミットするために、2050年までにCO2ニュートラルを目指すと宣言している。この長期的な目標を実現するためにバックキャスティングして中期的な目標をたてているわけだが、取材を進めていくと、温暖化に対する危機感が日本と比べものにならないほど高いことを実感する。詳細なロードマップは現在制作中だ。
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