【メディアのウソ】テスラ失速、欧州も踊り場でBEVは“売れていない”のか? 数字で検証する
掲載 carview! 文:山本 晋也 133
掲載 carview! 文:山本 晋也 133
<2024年1月欧州新車販売パワートレイン別シェア>(ACEA調べ)
・1位|ガソリンエンジン車:35.4%
・2位|ハイブリッドカー:28.7%
・3位|ディーゼルエンジン車:13.3%
・4位|BEV(電気自動車):10.9%
・5位|プラグインハイブリッド車:7.9%
・その他:3.9%
一年前はガソリンエンジン車が市場シェアのトップで、HEVは二番手、BEVに至ってはディーゼルエンジン車の後塵を拝していたのでした。
つまり、1年後の24年にはBEVの占拠率はおよそ1.3倍に増加したことになります。BEV市場の成長率はもっと高いはずだという見方をする人であれば、この状態を“踊り場”と評価するかもしれませんがが、少なくとも欧州においてBEVは失速(前年比割れ)してはいません。
また、日本ではドイツにおいてBEV失速が進んでいるという報道を見かけることもありますが、ACEAの発表によるとドイツにおけるBEV販売は前年同月比で53.5%増になっていて、欧州のBEVシフトをリードしています。
ちなみに、ハイブリッドカーの販売がもっとも伸びたのはフランスで、こちらも前年同月比をみると52.2%増になっています。
「欧州は一枚岩ではない」という表現をしばしば見かけますが、自動車市場のトレンドにおいても、ドイツとフランスで異なる状況なのは興味深いところです。
いずれにしても、欧州自動車市場においては、ハイブリッドカーやBEVのシェアが成長しており、明確に“電動化”が進んでいることを数字は示しています。冒頭で紹介したフォルクスワーゲン・グループの業績不振についても、その最大の要因は“中国市場の減速”であり、BEVシフトが原因と分析するのはやや乱暴に見えます。
もちろん、年間を通しての市場シェアをみると、2023年に14.6%を占めていたBEVが2024年には13.6%となっているので減速したのは事実ですが、2025年に入ってその流れは変わりつつあるのかもしれません。
「BEVは踊り場なので、ハイブリッドなどのエンジン車に注力すべき」というのは、欧州的トレンドにおいてはミスリードになり得ることも考慮して、自動車市場をウォッチしていく必要がありそうです。
(終わり)
(写真:テスラ、フォルクスワーゲン、ACEA、アフロ)
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