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女性自動車ライターとして“色気”ではなく“女性視点” でクルマの魅力を伝えたい

女性自動車ライターとして“色気”ではなく“女性視点” でクルマの魅力を伝えたい

写真:PATCHARIN SIMALHEK

“女性の視点”と“女性で男性客を呼ぶ”は同じじゃない

自動車メディアの編集やライターは「様々なクルマを乗り回せる羨ましい仕事」とよく言われる。たしかに普段絶対に触れないようなウン千万円のクルマから軽自動車まで、たくさんのクルマを運転できるのは楽しい。でも「乗って楽しい」以上に、それぞれどんなクルマか伝わるように書き上げるのはとても難しく、苦しい作業だ。そして日々取材と執筆に追われるので、ゆっくりと息をつく時間はあまりない。それでもこの仕事を続けられるのは、やはりクルマが大好きでその魅力を伝えたいという思いがあるからだ。

自動車業界は圧倒的に男性が多いので、女性として自動車のライター業をしていると、有難いことに可愛がっていただけることが多い。仕事でも、本人より100倍可愛らしい写真を撮ってもらって、それが前面に押し出されるような記事もある。私は自分よりクルマやそれに関わる人やモノを伝えることが第一だと思っているので「これでいいのだろうか」とふと思うことがある。クルマを伝える上で“女性の視点”は大切だと思うが、それは“女性で男性客を呼ぶ”という方法だけでは決してないはずだ。

老舗の自動車雑誌を退職してフリーランスになったのは、以前の自分のようにクルマに興味のない人たちにすこしでも興味を持ってもらえるようなきっかけを作りたかったから。それを実現するまでは果てしない道のりかもしれない。それでも、単なる容姿としての女性らしさではなく、これまで男性が表現できなかったようなところまで踏み込んで、クルマの魅力をたくさんの人に伝えられたらと思っている。

(ジャーナリストコラム 文:伊藤 梓)
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伊藤 梓(いとう あずさ):ライター
クルマ好きが高じて、グラフィックデザイナーという異業種から自動車雑誌の編集者へと転身。2018年からクルマの魅力をより広く伝えるために独立。自動車関連のライターのほか、イラストレーターとしても活動している。

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