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「ミニバン=退屈」の終焉。279psの「ヴェルファイア」が「アルファード」という“優しい牢獄”から僕らを解放する

「ミニバン=退屈」の終焉。279psの「ヴェルファイア」が「アルファード」という“優しい牢獄”から僕らを解放する

トヨタ ヴェルファイア

「アルファード」の独裁に謀反を起こす「ヴェルファイア」

日本の道路を観察していて、ふと思うことがある。街を埋め尽くすトヨタ「アルファード」の群れ。あれは現代のプチ成功者が行き着く理想郷であると同時に、ハンドルを握る人間にとっては、一種の「優しい牢獄」でもあるのではないか――と。

エグゼクティブの送迎からファミリー層まで、あらゆるニーズを飲み尽くす現行型アルファードは、間違いなく傑作ミニバンと言っていいだろう。2列目に座れば、そこはファーストクラスさながらの極上空間。静粛性に満ち、路面からの不快な振動はほぼ完璧に遮断されている。

だがそんな「2列目の天国」と引き換えに、我々は何か大切なものを差し出している可能性もある。それはステアリングを握り、自らの意志で機械を操るという、ドライバーとしての歓びと尊厳かもしれない。

高級ミニバン市場が成熟すればするほど、その運転席の価値は相対的に低下していった。「高額なラージサイズミニバンを運転する」という栄えある行為が、同乗者という主役に快適な移動を提供する、いわばお抱え運転手としての労働に近づいていってしまったわけだ。

「ミニバンなのだから、走りはそこそこでいい。運転手は我慢すればいい」

そんな、自動車好きにとっては残酷とも言える合理的な妥協の象徴が、これまでの高級ミニバンという乗り物だった。だが2023年、そのサイレントな主従関係に真っ向から謀反を起こしたミニバンが登場した。

それこそが現行型トヨタ「ヴェルファイア」だ。

先代モデルの末期、ヴェルファイアはアルファードに販売面で大きく遅れを取り、一時はブランド消滅の危機に瀕していた。もしもトヨタが単なる効率主義のメーカーであったならば、現行型はアルファードに一本化されていただろう。

だがトヨタはそうしなかった。それどころか、アルファードとは明確に異なるキャラクター――それも「徹底的なドライバーズミニバン」という、一見すると矛盾したキャラクターをとことん研ぎ澄ませたうえで、新生ヴェルファイアをリリースしたのだ。

(次のページに続く)

#ヴェルファイア #アルファード #トヨタ #ミニバン #コラム

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