世界基準に色目を使った“スマートだが退屈なセダン”は他所に任せろ。次期「スカイライン」が提示すべき孤高のアンチテーゼ
掲載 carview! 文:伊達軍曹 63
掲載 carview! 文:伊達軍曹 63
「GT-Rの次期型は、必ず出します」
日産のエスピノーサCEOから2026年4月14日に飛び出したこの発言は、ファンサービスとしては満点かもしれない。だが冷徹に考えるのであれば、これは一種の引き延ばし工作にも見えなくはない。なぜならば、次期型GT-Rの具体的な登場時期はまったくもって不明であるからだ。
現在の自動車業界は、EVシフトの減速やカーボンニュートラル燃料の模索、さらには激変する国際情勢など、100年に一度の変革期の真っ只中にある。
自動車メーカーを取り巻くリソースの配分や法規制のハードルを考えれば、次期型GT-Rが我々の前にリアルな姿を現すのはずいぶん先の話になるはず。
そしてその頃、筆者のような「車好きのおっさん」は何歳になっているだろうか? もちろん人それぞれだろうが、多くの場合で50代や60代になっていることだろう。
動体視力も体力も衰え、最高出力何百馬力だかの超ド級モンスターを、大金を叩いて手に入れるほどの情熱が残っている保証はどこにもない。人生の時間残高は、思っているほど多くはないのだ。
となれば、現実的な最善手はひとつしかない。GT-Rという蜃気楼を追い続けるのをやめ、もうひとつの日産の魂である「スカイライン」の次期型に目を向けることだ。
だが次期型スカイラインをリアルに検討できる予算(おそらく600万〜800万円級か、それ以上)を出せるユーザーは、当然ながらBMWやメルセデス・ベンツなどの欧州プレミアムも購入可能な財力を有している。そして彼らは欧州列強のステータス性や洗練を、よく知っている場合が多い。
そのような「目と耳が肥えた大人たち」が欧州名門ブランドをあえてスルーし、あえて「日産のクルマ」を指名買いしたくなる理由がなくてはならないのだ。
現在出回っている「海外市場の都合で仕立てられたようにも見える、綺麗だが、失礼ながら中身は薄そうなプレミアム電動セダン」といった趣のティザー画像やAI画像の先にあるモデルでは、彼らの心は1ミリも動かないだろう。
かといって、日本市場だけを向いたガラパゴスなスポーツセダンを作ったところで、現代の自動車ビジネスとしては成り立たない。
筆者が本当に見たいスカイラインは、一部のマニアだけが喜ぶ内弁慶ではなく、海外仕様とエンブレムが異なるだけの薄味な一台でもない。
「日本のエンジニアリングの執念で作られた独自の思想が、そのままグローバルで評価され、世界中の目の肥えたクルマ好きをうならせる」という姿だ。
決して大儲けはできないかもしれないが、グローバルビジネスとして確実に黒字化させ、なおかつ「日産の、そしてニッポンの技術と魂の象徴」として世界の強豪を震撼させる。そんな次期型スカイラインが登場したならば最高なのだが、ならば具体的にはどんな次期型スカイラインであるべきなのか? 考えてみることにしよう。
(次のページに続く)
#日産 #スカイライン #GT-R #次期型スカイライン #自動車コラム
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