新型ロードスターには作り手の強いメッセージがある・岡崎五朗
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
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まずはレザーパッケージの6MTを選択。これでもかというほど低い着座位置と、ほぼ垂直にレイアウトしたステアリングが、スポーツカーに乗っているんだという実感をリアルに伝えてくる。着座位置が低いためさすがに楽ラクと乗り降りできるとは言えないものの、サイドシルの幅は控えめだし、シート形状も必要以上にサイドサポートが盛り上がっていないため、本格的スポーツカーにしては気軽に乗り降り可能だ。
シートに座りステアリングに手を伸ばす。ステアリングはチルトのみでテレスコピックはない。人によってはテレスコが欲しいと感じるだろうが、身長170cmの僕の場合、最小の調整でドライビングポジションはバッチリ決まる。足元が広々していて、アクセル、ブレーキ、クラッチの各ペダルが理想的な場所に配置されているのも大きな魅力だ。ただし、シートの上下調整が角度のみで行うタイプなので、小柄な人はシートをもう少し高い位置に調整したいと感じるかもしれない。
2Lから1.5Lにダウンサイズし、なおかつ過給もしていないエンジンに対し、動力性能的にどうなの? と思う人も多いだろう。僕もそうだった。だが、走りだしてしまえば動力性能に対する心配はあっという間に消え去る。太い低中速トルクは常用域で優れた反応を示すし、上まで回すと約1トンという軽量ボディは「スポーツカー」の名に恥じない勢いでグイグイ加速していく。
もちろん、300psとか400ps級のスポーツカーのような圧倒的な加速はないけれど、そもそもライトウェイトスポーツにそういったテイストを求めるのは野暮というもの。適度なパワーだからタイヤもそこそこのグリップで事足り、だからサスペンションやボディにかかる負荷が少なくなり、軽く作れるからだ。いたずらにパワーを上げてしまったらライトウェイトスポーツではなくなってしまう。新型ロードスターの軽量ボディと1.5Lエンジンは、ライトウェイトスポーツのオーナーが求める動力性能水準を十分にクリアしている。それどころか、サウンドやトップエンドに向かって上り詰めていくパワーフィール、高回転域でのスムースさを含め、期待以上の気持ちよさを実現していると自信をもって報告できる。
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