サーキットで試した新型トヨタ ヤリスのダイナミック性能は欧州車にも負けない
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:菊池 貴之 3
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:菊池 貴之 3
そんなヤリス ハイブリッドの走りは、Bセグメントのコンパクトカーとしては非常にクリーンで、気持ちの良いパワー感を持っていた。モーター及びバッテリーは出力向上を果たしたというが、システム出力値はまだ未公表(燃費性能目標は20%以上向上しているという:WLTCモード)。ものすごくパワフルという感じではいが、軽いボディと相まって着実に速度を上げていく。全開領域でエンジンのサウンドはかなり抑え込まれており、3気筒ユニットのバイブレーションを意識させない。きれいに回る小さな自然吸気エンジンの心地良さに、モーターのトルクがきれいに追従してくる、完成度の高いハイブリッド車であった。
モーターやバッテリーがあるだけに、サーキット領域で走らせると慣性重量の大きさは感じる。ブレーキングでフロント荷重を乗せすぎるとタイヤは一気に潰れるが、これを水平まで起こして行くとヨーモーメントが起こしやすく、ハンドルを切るときれいに旋回してくれる。そしてコーナーの出口からアクセルを踏んで行けば、旋回Gを縦方向に変換しながら、前へ、前へと進んでくれる。その動きはすべてにつながり感があり、穏やかさの中にも質感の高いドライビングが楽しめた。
同じハイブリッドでも素晴らしかったのは、シリーズ初の4WD「E-Four」の走りだった。リアモーターやドライブシャフト重量の増加はむしろ前後の重量バランスを適正化させ、ヨー慣性モーメントはどんぴしゃ。ターンインではほどよく巻き込むため姿勢が作りやすく、コーナリング時はこれが安定する。4WD自体はこうした全開領域で後輪に駆動を掛けないようなのだが(あくまで雪道などでのスタート用らしい)、そもそもの前輪トルクによって美しくコーナーを立ち上がって行く。このシャシーバランスの良さは、雪道でも実感されるはずである。これでようやく、北国の人々のニーズが満たされることになるだろう。
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