【没個性？】なぜ自動車メーカーは“プラットフォームを共通化”するのか。計り知れないユーザーメリットとは

日産 GT-R

今後は各モデルごとの“味付け”が鍵に

ただ、自動車メーカーがプラットフォーム戦略を採用することに対し、一部のユーザーからは批判的な声も聞こえてきます。なかでも「プラットフォームが共有されることで、モデルごとの個性が失われてしまう」という意見は少なくありません。

この点について、前出のある業界関係者は、次のように私見を述べます。

「たしかに、プラットフォームが同じモデルは、走りや機能装備などが似ているケースも少なくありません。

しかし、『プラットフォームが同じ』ということは、必ずしも『中身が同じ』ということを意味しません。

MQBの例で言えば、その真髄はあくまでも『モジュール化』にあり、同一のシャシーをもとにさまざまな要素を追加することができることが最大の特徴です。つまり、同じプラットフォームが採用されていると言っても、実際の構造はモデルごとに異なるというわけです。

また走りの部分について、現代のクルマはソフトウェアに依存する部分も多く、そのセッティングによって差別化を図ることが十分可能です。

もちろん、プラットフォーム戦略を採用する自動車メーカーにとっては、各モデルをいかに差別化できるかが重要であることは言うまでもありません。そういった意味では、どのように『味付け』できるかが、自動車メーカーのノウハウになると思います」

もし仮に、共通のプラットフォームを採用せずに開発をおこなった場合、そのモデルの価格は大きく跳ね上がることが予想されます。

たとえば、日産「GT-R」は専用のプラットフォームを採用した結果、最終的には2000万円クラスの高価格モデルとなっています。

こうした点を考えると、GT-Rのようなオンリーワンのモデル以外は、共通プラットフォームを採用することのメリットが、デメリットを上回ることは間違いなさそうです。

（終わり）

（写真：トヨタ、日産、レクサス、フォルクスワーゲン、アウディ）