日産GT-R・17年モデルに試乗。内外装デザインの変更と走りの深化の狙いとは?
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一
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ところで、どんなペースで走らせても常に感じられたエンジンの回転の緻密さだが、その秘密はエンジンの組み立て方にある。試乗前、日頃GT-R専用のVR38DETTエンジンを組み立てている職人の方によるデモンストレーションがあった。職人さんは手際よくカムシャフトをブロックに固定した後、バルブとカムの間隔(バルブクリアランス)を計測するため、アイスの棒のような形の金属板を抜き差しする。板を差し込んだ際にどれくらい抵抗を感じるかによってミクロン単位のクリアランスを感じ取るのだそうだ。
プロフェッショナルな仕事に接し、脳内にスガシカオが流れてくる。機械ではここまで微細な違いを検知するのは難しいという。勧められて自分でもやってみたけれど何もわからなかった。このほか、いろいろな部品を組み付ける際にも一度組み付けた後にバラしてから再度より大きな力で締め上げて馴染ませるなど、とにかくVR38DETTの生産には相当手間がかかっているということがわかる。
当然、組み立てはだれでも担当できるわけではなく、まず5人の匠がいて、その下にサブ匠(匠に見てもらいながらであれば組んでよい)が5人いる。そのまた下に将来の匠を目指す人が4人いる。匠が組み立ての最初から最後まで責任をもち、その証としてエンジンにネームプレートを貼る、いわゆる”One Man, One Engine”方式を採用する。
GT-Rを公道だけちょこっと走らせて理解したというつもりはないが、乗り心地が改善され、室内の質感が高まり華やかになった点は確認できた。このクルマの本質が超高性能にあることは変わらないが、加えて日常的な満足感がアップした。日産は「GT-Rにライバルはいない」と言うが、少なくとも価格的に被るライバルは欧州に多数存在する。それらを押しのけて選んでもらうために、今回の改良は役立つのではないだろうか。
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