ハイブリッド化で前期型の弱点をほぼ克服したスバルXVのお勧めグレードは?
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:小林 俊樹 123
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:小林 俊樹 123
※2020年3月19日取材
「男のウン十回払い」が完遂される前に、あるいは「炎の現金一括払い」の余韻冷めやらぬなか、たいていの車は非情にもマイナーチェンジが実施される。
筆者もその例外ではなく、2017年の暮れに一念発起の月賦払いにて購入したスバルXVは、2019年11月のマイナーチェンジをもって「型遅れ」と相成った。
それも「ヘッドライトの形状が少々変わりました」というレベルのマイナーチェンジではなく、2L車のパワーユニットがまるっと刷新されたビッグマイナーチェンジである。
まだまだ続く月賦の支払予定表と、近隣のスバルディーラーが郵送してきたマイナーチェンジ版XVのチラシを肴に、筆者は夜ごと涙酒に明け暮れた。
だが、よく考えてみればまだ望みはある。
もしかしたら、マイチェン後のスバルXVは「実はぜんぜん良くない」という可能性だってあるではないか。
果たして実際のところはどうなのか? そのあたりを確認するため、マニアたちは「D型」と呼ぶマイナーチェンジ版XVを借り出すことにした。グレードは最上級に相当する「Advance」である。
筆者が所有している(マニアはB型と呼ぶ)前期型の2Lと、マイチェンを受けたD型とではさまざまな部分が異なるわけだが、その異なるポイントごとに、「実際乗り比べてみてどう感じたか?」ということを逐一ご報告したい。
1. パワーユニットの違いについて
ご承知のとおり前期型のスバルXVは水平対向4気筒の1.6Lおよび2Lガソリンエンジンを搭載していたが、2019年11月のマイナーチェンジで2Lはすべて「e-BOXER」に変更となった。それすなわち最高出力145psの従来同様2Lガソリン直噴エンジンに、最高出力13.6ps/最大トルク188Nmのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムである。
このe-BOXERこそがD型XVのキモであるわけだが、キモなだけあって、これは大変に素晴らしいものであった。
名称こそe-BOXERと勇ましいが、実際は単なるマイルドハイブリッドであるため、怒涛のエレキパワーが炸裂するわけではない。
だが自然吸気の2Lエンジンで感じていた「悪くないんだけど、あともう少しだけパワーとトルクがあればなぁ……」という部分を絶妙に補ってくれるのが、今回追加されたモーターとバッテリーなのだ。
ご承知のとおりXVならびにスバル車には「SI-DRIVE」というスイッチがあり、これを押すことで「穏やかで燃費重視のインテリジェントモード(I)」と、比較的パワフルでリニアな「スポーツモード(S)」とを使い分けることができる。
で、筆者の場合はいつも「I」に入れっぱなしで、「S」を使うことはほとんどない。
なぜならば、それは「昨今の世相になんとなく影響を受けているから」であり、「加齢により飛ばす気にならなくなったから」ということでもあり、また「このエンジンは、Sを選んだところで特に楽しいわけでもないから(ちょっと速くなって、うるさくなるだけだから)」である。
とはいえ前述のとおり「でもあとほんの少しだけ、Iのときでもパワフル&トルクフルだとうれしいのだが……」とは思いつつ、あきらめていた部分だ。
しかしそのあきらめに13.6ps/188Nmのモーターが加わったことで、すべてが「快感」に変わった。
ユルユルと定速巡航する際はどちらも似たようなものだが、そこから追い越しまたは上り坂に差し掛かるなどの理由で「ちょい力を足してやりたい」と思う場合、従来型の2L自然吸気では少々のかったるさというか物足りなさがあった。
だがe-BOXER化したそれは、「足の裏でアクセルペダルをほんの1mmか2mmぐらい踏み足してやるだけ」で、瞬時にイメージどおりの(6気筒レベルの?)推進力を得ることになる。そのようにして、イメージ(感覚)と車の実際の動きとのズレがほぼなくなったことで、そこに得も言われぬ「巡航する歓び」が誕生したのだ。
そこからさらに「S」のボタンを押すのもご自由だが、筆者としては「e-BOXERの場合はIで十分!」と確信し、テストのためいくつかのシーンで「S」を試したほかは、ほぼ「I」に入れっぱなしでドライブした。そして、何の不満も痛痒感も感じなかった。
また今回のe-BOXER化は、スバルXVという車の「GT(Grand Tourer)っぽさ」をより高めたようにも思える。
もともとGTとしての資質と感触があったXVだが、リチウムイオン電池を荷室床面に配置したことで車両重量が110kg増え、その重量増加分が、悪い方向ではなく「いい方向」に作用したというイメージだ。
具体的には、すべての動きに「重厚感」のようなものが加わったことで、実際のCセグメントではなくDセグメント、いや下手をすればEセグメントのSUVにも近い「本格感」が出てしまったのである。
もちろん、サーキットや峠を走る際はこの重量増がマイナスに作用するのだろうが、まさかXVでサーキットを走る人はおらず、峠道に関しても、ぶっ飛ばす人などほとんどおるまい。
それゆえこの重量増はある意味大正解であり、筆者は自分の前期型2.0i-Lのことを半分冗談として「群馬アウディ」と呼んでいたのだが、後期型についてはもう冗談抜きの本気で「群馬アウディ」と呼ぶことにしたい。
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