新型ML63AMG AMGの走りはそこにあるか
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
昨年9月にフランクフルトショーでデビューを飾った、3世代目となる新型Mクラスは、そのスタイリッシュなルックスに違わず、ドライビングダイナミクスとコンフォート性能を高いレベルで結実させた、とても魅力的なSUVだ。2カ月後の11月にLAオートショーでお披露目された、最強バージョンのML63AMGは、その本質的なキャラクターを犠牲にせずに、個性的なスタイリングと圧倒的なパフォーマンスが与えられたモデルである。そのML63AMGに、陽光燦々たるカリフォルニア州サンタ・バーバラで試乗した。
「W166」という社内開発コードを持つ新型MクラスのAMGバージョンは、ワイド化されたフェンダーや幾何学的な形状の大開口エアインテークをあしらった専用デザインのフロントバンパー、4本出しの角形エグゾーストエンドと一体デザインのリアバンパーなどを纏い、力強くモディファイされている。今回の試乗車には、標準の20インチ・ホイールに代えて、オプションの21インチ・ホイールが装着されていた。インテリアには320km/hスケールの専用スピードメーターや、フラットボトムのステアリングホイール、アルミ製のパドルスイッチなどが備わっている。
ボンネットフードの下には、低回転域から過給効果を発揮するレスポンスに優れたターボチャージャーを2基備えた5.5リッターの直噴V8エンジンを搭載している。先代ML63AMGの6.2リッターV8自然吸気ユニットからダウンサイジングされたものの、そのパフォーマンスは標準仕様でも最高出力386kW(525ps)、最大トルク700Nmの強心臓だ。オプションのAMGパフォーマンス・パッケージを選択すれば、410kW(557ps)と760Nmへとさらにパワーアップする。0-100km/h加速は、標準モデルでも4.8秒と俊足だが、AMGパフォーマンス・パッケージ装着車はさらにコンマ1秒短い4.7秒の俊足ぶりを発揮する。最高速度はどちらの仕様も250km/hに制限されているが、これもオプションのAMGドライバーズ・パッケージを追加すれば、280km/hに引き上げることが可能だ。
これほどのパフォーマンスを手に入れた一方、新型ML63AMGは停車時にエンジンが停止するエコ・スタート・ストップ機能が標準装備されるほか、低回転域からの発進を容易にするフライホイールや低摩擦ベアリング、トランスミッションオイルの温度管理システムなどを採用し、燃費向上も図られている。
今回はサンタ・バーバラ近郊のハイウェイとワインディングロードでその性能を試したのだが、試乗車に乗り込んだ私は最初の数メートルの移動でこのクルマの軽快なフットワークを感じることができた。この最新AMGモデルは、アクセルペダルを踏み込みさえすれば、車両重量が2.3トンもあるSUVとは思えないほど一気呵成に加速する。まさにAMGの名に恥じないパワー感に溢れた走りだ。V8エンジンも昨年来登場した同エンジン搭載のAMGモデルと同様の迫力あるサウンドを奏で、ドライバーのスポーツマインドをかき立てる。なお、トランスミッションは7速ATのAMGスピードシフトプラス 7Gトロニックを搭載し、4WDシステムは前後40:60に駆動力を配分する。
ドライビング・モードは「C(コントロールド・エフィシエンシー)」と「S(スポーツ)」、「M(マニュアル)」の3モードが用意されている。Cモードはその名の通りエンジンやトランスミッションが燃費を優先した制御となり、エコ・スタート・ストップ機能がアクティブ状態となる。SモードおよびMモードでは、エコ・スタート・ストップ機能がカットされ、エンジンとトランスミッションの制御がパフォーマンス優先となる。
標準装備のエアサスペンションであるエアマチック・エアサスペンションも、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツ・プラス」の3段階に調整可能だ。同時にパワーステアリングのアシスト量も好みに設定できる。ワインディングロードでは、ダイレクトなステアリング特性が味わえるスポーツ・モードが適当だ。SUVらしからぬスポーティな走りが楽しめるのである。
とはいえML63AMGは、やはり背の高いSUVであることは否定できない。テクニカルデータにはスーパースポーツと見紛うような数字が並んでいるが、コーナリング時には大きめのローリングを感じることもあり、SUVであることを意識させられる。このクルマがもっともその魅力を発揮するのはロングドライブだろう。快適性とスポーティさのバランス、このクラスで群を抜いていることに疑いの余地はない。
実用燃費の良さも特筆に値する。今回、試乗ルートの最後の約130kmで燃費を意識してドライブしてみたところ、欧州テストサイクルにおけるカタログ数値と同じ11.8リッター/100km(日本式に表記すると8.4km/リッター)という、このクラスでトップの数値が確認できたのである。
初代である1999年のML55AMGと2代目である2005年のML63AMGは、合計で約2万4000台が販売された。成功したモデルと言っていいだろう。新型ML63AMGのプロジェクトリーダーであるビョルン・シュタイグウーバー氏は、新型の目標販売台数について明言は避けたが、少なく見積もるつもりは無いという。出来映えに自信があるのだ。その自信の根拠は、誰でも確認することができるはずである。
ちなみに新型ML63AMGは、ドイツではすでに注文可能で、価格は標準モデルが10万8885ユーロ(1ユーロ100円とした場合、1088万8500円)、パフォーマンス・パッケージ装着車は11万5906ユーロとなっている。日本市場への導入時期はまだ未定だが、遅くとも今年の夏から秋頃には注文可能となる見込みだ。
ログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
XC40のEVが改称 ボルボEX40へ試乗 シングルモーターでも活発 得意分野は高速巡航
夫婦ふたりで共用するマツダ「ロードスターRF」で北海道旅行も! 1年1万キロペースで楽しい新婚カーライフを満喫…こだわりはメーターパネルに
ヤマハ、『XSR125 ABS』を一部仕様変更し4月16日に発売。アクセサリーパッケージモデルも登場
トヨタ『ハイラックス』にマイルドハイブリッド版 約970万円から英国発売 洗練性が向上
上位勢唯一の2ストップを強いられたハミルトン。セットアップ変更がフェラーリの苦戦の一因か
1日たったの1往復! JR九州の「激レア短距離特急」に乗ってみた 豪華な内装、でも料金はお得です
ボルボの“新型7人乗りSUV”「XC90」がスゴイ! 10年目の大幅改良で何が変わった? 乗ってわかった進化とは
【代表のコメント裏事情】V10エンジン復活論に「時期尚早」と反対したメルセデス。一方FIAはすでに議論を開始
スズキ「フロンクス」を迎え撃つ! ホンダ「WR-V」が登場からわずか1年で一部改良…インテリアの質感アップに「ブラックスタイル」設定で競争力を強化
独創的なデザインが目を引く、時計界のカリスマとコラボした「シングルハンド」ウォッチに込められた思いとは
PIAA、安定した払拭性能と優れた耐久性の「スリムヴォーグ・フラットワイパー」2種を発売
日本人3名が参戦するELMS開幕戦のエントリーリストが発表。LMP3は新車+トヨタV6に
新型リーフ公開! 日産が新型車投入計画を発表。国内市場は新型軽自動車、そしてエルグランドの行方は?
【これ割とお買い得!?】スバルがクロストレック、インプレッサ、レヴォーグの特別仕様4モデルを一挙発売
【マイチェン情報】新型「ステップワゴン」登場は5月。デザイン変更、ブラックエディション&上級仕様エアーでライバルを追撃
【残りあと2台!?】まだまだやるぞミツオカ! 最終版「ファイナルヒミコ」はプレミア必至の10台限定発売
【え、スイフトも売れていない!?】高評価なのに苦戦が続く2つの要因と、唯一の“生き残る道”
【4300万円以上!】タレントのユージがSNSで披露したマクラーレン「750Sスパイダー」はどんなクルマ?
【いつになったら買えるの?】「ランクル300」改良。盗難防止機能が拡充、525万円から…受注は今も停止中
【ただいま新型セリカ開発中】当時のヒット映画にも登場した伝説のラリーカー「GT-FOUR」ってどんなクルマ?
ようやく発売「クラウンエステート」。買って損はない5つの理由と、覚悟するべき微妙なポイント
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!