BMW MはFF車や電気自動車を作るのか？ 商品担当トップに聞く

写真はM4 GTS

「M」らしくあるために変化・進化していく

--その“Mモデルの求める水準”とはなんですか？

Mモデルにとって大事なのは、アジリティ、パフォーマンス、そしてステアリングの正確さです。ステアリングの正確さとは、即座にフィードバックが得られること、そしてドライバーが次になにが起こるかを予想できることです。これにはブレーキングのコントロール性やロードホールディング性といった要素も絡んできます。

--AMGは4WDを使ってスタビリティを高める傾向にあります。もしMがAMGをライバルと見ているのであれば、そのこだわりを持ちながら4WD化していくAMGモデルにどうやって対抗していくのでしょう。

AMGはたしかに4WDを採用していますが、C63については今年のフランクフルトショーで発表された新型でも4WDを採り入れていません。それはサーキット・パフォーマンスを重視しているからです。M3／M4クーペと同じで、物理的限界と戦っているのです。

E63は現行モデルでFRと4WDを両方使うようになりましたが、それはセグメントが違います。セグメントが変わればそこでの顧客の要求も変わってきます。BMWでいえば、5シリーズ、6シリーズではエンジンがさらにパワフルになります。高出力化が進めば、後輪駆動ではパワーを路面に伝えきれなくなり、4WD化はありえます（※BMWの高出力系モデルでは、5シリーズ、6シリーズのV8モデル（450ps）ですでにFRとxDriveの両方を設定／日本未導入。Mモデルは現状ではFRのみ）。

もっともその場合も、トラクションの向上だけでなく、FR車のようなフィーリングを備えることが前提となりますが。このあたりは顧客がなにを求めているかによって変わってくるのです。一方でわれわれはMモデルのキャラクター、ブランド価値を守っていきます。FRでないといけないとか、そういうことじゃなくて、Mモデルは“M”らしくなければいけない、ということです。