「そうじゃないでしょ？ 日産」と思ったエルグランドのCMについて

なかなか素敵な動画CMなだけに非常に残念

この動画CMが言わんとするところは、そして近藤真彦さんが人々に伝えたかったことは、おそらくこうだ。

「こういった激しい走りを公道でするのはまったくおすすめしません。でも、普通ぐらいのペースで走るにしても、基本性能が高い車のほうが安全に走れますし、そもそも運転していて楽しいものです。だから皆さん、このように実は基本性能が高いエルグランドを選んでみてはどうですか？」

これは、当該の動画を見れば誰にでもなんとなく伝わる主張だ。そのようにできている。

それなのになぜ、締めのひと言が「あなたはエルグランドのポテンシャル（潜在能力）を引き出せるか」なのか？　理解に苦しむ。

まぁコピーライターや広告代理店、あるいは日産自動車の担当部署は言うのだろう。

「ややや、違うんです！　『ポテンシャルを引き出す』といっても『公道でかっ飛ばす』という意味ではなく、その～、なんていうか『エルグランドの素性の良さをじっくり感じ取る』ぐらいの意味でして」

……まったくわかりません。「潜在能力を引き出せるか？」という問いからそういった主張を汲み取ることは、少なくともわたしにはできません。

手のかかった、なかなか素敵な動画CMであるだけに、最後のズレっぷりだけが非常に残念だった。

これでは、マッチの素晴らしい運転も浮かばれない。

（ジャーナリストコラム 文：伊達軍曹）
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伊達軍曹（だて ぐんそう）：自動車コラムニスト
外資系消費財メーカー勤務を経て自動車メディア業界に転身。「IMPORTカーセンサー」編集デスクなどを歴任後、独自の着眼点から自動車にまつわるあれこれを論じる異色コラムニストとして、大手メディア多数で活動中。