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【クルマ小説】僕は新人トップセールス vol.3「そして夜は更けていった」
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お目当てはガイシャ

僕は無事故ワンオーナーで密度の濃い東京トヨタの整備記録の残ったこの15クラウンに80万円という値段を指した。(僕が勝手に査定をしたその値段に、後で社長には怒られた)むろんこれはご奉仕ハッスル価格である。パールホワイトの屋根付き(ムーンルーフ付きの意)、マルチ付きならその値段でいいが、紺色の屋根なしマルチなしでは無理な値段。

高柳さんのお目当ては本体価格ジャスト250万で中古車情報雑誌にも出したボストングリーンのE36、BMW320iの98年最終モノ。サービスフリーウェイも使えて走行まだまだの1万2000kmである。勤め人も勤め上げて自営になり、世間や会社のしがらみもなくなり、好きに車が選べるようになった、だからBMWなのだという。大きすぎずそれでいて内装が革張りでサンルーフもついているデラックス仕様(氏の弁)。これを、初めて買えるガイシャなのだとしたら御の字と思っていた高柳さんの反応は大フィーバーだった。

「オイ!おめえんとこ、そんなんで商売デージョーブなんかい!!」

彼は興奮すると故郷の言葉が出てくる。でも、僕は冷静に思う。クラウンやマーク2が長かった人が、いかに生活観が変わったとは言え、いきなりBMWではちょっとギャップがありすぎる。下手すると乗って初めて「自分向きでない」と感じることがあることを過去の例からも知っている。

「まあまあ、高柳さん、試乗、行きましょうよ、まずは味わってくださいよ」

BMWのシルキーシックスは例によってシューンと軽く目を覚まし、革装特有のニオイに高柳さんはますますテンションが上がり、そして彼はワイパーを動かす。

「オリョリョ!そうか!逆なんだよなぁ外車は。イケネェイケネェ」

でも、その後しばらく静寂が流れた。やや低めのファイナルを持つ320i特有のやや引っ張るシフトスケジュールにより、普通に走っていてもBMWの硬質なサウンドを味わうことが出来る。そして彼の興奮を冷ますようにこのエンジン音が室内に響いていた。

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