現在位置: carview! > 編集記事 > コラム > 【クルマ小説】僕は新人トップセールス vol.2「奥様は運転好き」

ここから本文です
  • みんカラ つぶやく
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【クルマ小説】僕は新人トップセールス vol.2「奥様は運転好き」
  • 【クルマ小説】僕は新人トップセールス vol.2「奥様は運転好き」

しかし、これはもしかすると・・・

取るものとりあえず、試乗に出る。むろん妊婦の奥様がハンドルを握る。

最初はキャブオーバータイプの運転席からの視界や運転操作に馴染めない様子だったが、それも次第次第に慣れてきた。やがてターボディーゼルの過給音を響かせながら、まるで鼻歌交じりといった感じで快調に走る。ご主人は二列目で室内の広さや使いやすさなどをフムフムと言いながらチェックする。やっぱりこの夫婦、普通と逆なのだ。試乗から戻るやいなや、奥様は目を見開いて僕に言う。

「すごくイイですね、これだったらバンバン走れそう」

僕の予感は的中した。彼女を退屈にさせない何かを、このハイエースは持っていたということだ。ご主人も腕組みしながら程度の良さに納得している様子。ローレルの下取り金額がちょうど諸費用分に充当されるカタチとなったが、奥様の「もう一声!」にお応えしてポリマーコーティングをサービスさせていただくことにし、そこでめでたく契約書に押印となった。でも、勝手にポリマーをサービスして社長にはバカヤロウと怒られた。

後日、ハイエースを初回の点検でお預かりした時、無事に女の子が生まれたとご主人が嬉しそうに話してくださった。奥様は運転がしたくてウズウズしながらお産に臨んでいたという。産院から帰宅する際にも、ご主人がハイエースで迎えに行くとおぼつかない運転を見るに見かねて、新生児をご主人に任せ、奥様が自らハンドルを握って帰ってきたらしい。考えてみればその赤ちゃんも、順調に育っていれば来年には免許が取れる歳。

あの母親の血を引いているのだとしたら、一体どんな娘に育っているのだろう。

(文章:前田恵祐/イラスト:田中むねよし)

【この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません】

vol.1 ターチャンの想い出」←|→「vol.3 そして夜は更けていった

コメントの使い方

みんなのコメント

ログインしてコメントを書く

(株)カービュー関連サービス

メールマガジン メールマガジン

愛車無料一括査定

あなたの愛車今いくら?

車の種類を選択
事故車 商用車
お住まいの郵便番号を入力
-
※郵便番号がわからない方はこちら

※(株)カービューのページへ移動します