世界的なEVシフトの中に潜むもっとも危険なこと【前編】
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗
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しかし、火力発電のなかでも発電時のCO2排出量がもっとも多い石炭発電が主力の中国では異なる結果になる。メガソーラーを次々と建設しているものの、増える一方の電力需要には追いつかず、太陽光発電の割合はわずか1%に留まっているのが現状。日本並み(4%)に届くにはかなりの時間がかかるだろう。にもかかわらずEV化政策を加速させているのは、地球温暖化対策というよりは、深刻化する大気汚染を改善する必要に迫られているからだ。
さらに、EVの優遇をハイブリッドや最新エンジン技術を持たない自国の自動車産業育成に利用する狙いもある。偏西風の風下に位置する日本としては、今後10年で60基という凄まじいスピードでの原発建設計画も気になるところだ。
ちなみに、インドも2030年までに国内で販売するクルマをすべてEVにすると言っているが、中国以上に石炭火力発電の比率が高く、かつ一人あたりの国民所得が中国よりも低いインドでEV比率を100%にするなど、論理的にはちゃんちゃらおかしな話だ。しかし中国同様、自国の自動車産業にチャンスを与える「ゲームチェンジ」が主たる狙いだと考えれば納得がいく。
その点、不可解なのが英仏独だ。フランスは原子力発電の比率がもっとも高い国であるため、まだわかる。しかし、イギリスとドイツはとくに原子力発電比率が高いわけでもないし、都市部での大気汚染問題を抱えているとはいえ、エンジン開発力もある。そう考えると、ヨーロッパでは我々が想像する以上にVWのディーゼル問題のショックが大きかったのかもしれない。
こうして各国の思惑を絡めつつ、EVへの追い風が強まるなか、アメリカではテスラが量販車種のモデル3を発売。日産は近々に航続距離を大幅に伸ばした新型リーフを発売する。欧州勢も活発なニューモデル投入を予定しているから、数年のうちには様々なメーカーから魅力的なEVが次々に市場に投入されるだろう。一ユーザーとしてはかなり面白い時代になってきたなと感じる。しかし、急速なEVシフトにはいくつかの問題も予想される。次回はそのあたりに注目しつつ、次世代エコカーの今後と、日本のとるべき道を考えていく。
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