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英国限定15台 595psのヴォグゾール「VXR8 GTS-R」 最後の試乗

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英国限定15台 595psのヴォグゾール「VXR8 GTS-R」 最後の試乗

もくじ

どんなクルマ?
ー 荒くれ者にさようなら
ー 英国の輸入台数は15台

現役引退間近 技術よりも「情」なパフォーマンスモデル一気乗り(前編)

どんな感じ?
ー 走りは一見「GTカー」
ー ふしぎなくらいにアメリカン

「買い」か?
ー 「模範解答」に飽きたなら

どんなクルマ?

荒くれ者にさようなら

VXR8 GTS-Rは、とてもレアなモデルであり、このことは、V型8気筒モデルのヴォグゾールの終焉を意味する。多分、永遠に。

VXR8は、統廃合によってその活動を終えた、オーストラリアのホールデン社のコモドアの兄弟車である(ヴォグゾールは、これまで長い間コモドアを輸入して、グリフィンとして販売していた。モナロ・クーペについても同じである)。

そのコモドア自体も間もなく生産を終える。VXR8がレアであることは、それだけではない。古き良きこのメーカー自体がPSAグループへ売却されることも、その一因である。

最初からこんなに悲しいのは、13年の間、ヴォグゾール史上もっともパワフルなV型8気筒を搭載し、後輪で駆動する、荒くれ者にさよならをするからである。

英国の輸入台数は15台

たった15台が英国には導入されるため、レアであることは間違いない。このことが、コモドアの兄弟車の販売価格を、£74,500(1040万円)にしている理由だ。

ソフトウェアと吸気系のアップグレードで、スーパーチャージャーが装着される6.2ℓV型8気筒エンジンは、VXR8 GTSのそれと比較して、控えめな11psの出力の向上を果たし、595psの馬力を得るが、75.5kg-mのトルクは不変である。ちなみに、VXR8は、大柄なクルマであり、その重量は1880kgにもなる。

メーカーによると、VXR8 GTS-Rは、0-100km/hを4.2秒で駆け抜け、最高速度は248km/hでリミッターが介入する。このモンスターを操るために、ブレーキによるトルクベクタリングを可能にさせるLSDと410mmにも上る巨大なフロントブレーキが装備される。

レアなクルマであるから、そのクルマをテストする機会も当然レアである。われわれは英国のメディアの中で最初にVXR8 GTS-Rをテストするチャンスに恵まれた。その結果をご紹介しよう。

どんな感じ?

走りは一見「GTカー」

まず言えるのは、他のスーパーサルーンと呼ばれるクルマとは大きく異なるキャラクターを有しているという点。

大手ドイツ車メーカーが提供する、今ではポピュラーな選択肢であるそれらは、4輪を駆動し、ツインターボで加給されるV型8気筒エンジンを搭載し、それをパドルシフトを伴う変速機で操作する一方で、GTS-Rは、昔ながらのシンプルなアプローチを貫く。

オートマッティック変速機はオプションで用意されるが、テスト車は6速マニュアル変速機が装備されており、もちろん、選択肢は後輪駆動のみである。

キャビンは、£75,000(1040万円)のクルマとは思えない酷い仕上りである。多くの素材は安っぽいプラスティックで、ダッシュボードには、フェイクのカーボンファイバートリムが奢られており、その価格を正当化するには程遠い。

しかし、シートポジション、シート、キャビンの空間、視界性など、運転するに当たって重要な項目にほとんど落ち度はない。シートは大きく、掛け心地は良く、しかも、効果的に身体を支えてくれる。

いろいろな意味でGTS-Rは、4ドアGTカーという印象を与える。心地の良いシートを別にしても、乗り心地はとてもよい。ドライブトレインを含めて、ドライバーに要求する厳しさはなく、気難しさのないクルマである。長距離をドライブするにはもってこいだろう。

しかし、センターコンソールにある小さなノブを捻って、パフォーマンスモードを選択すると、アグレッシブな意匠のエクステリアが示唆する、怒涛のスーパーサルーンへと変貌する。

ふしぎなくらいにアメリカン

4500rpm辺りで排気バルブが開くと、消音機が消失したかのようなV8の爆音が田舎道にこだまする。

エンジンは疑いなくモンスターで、ワイドレシオのギアを介してたゆみないパワーを発散する。ワイドレシオを採用したことで、簡単にホイールスピンを起こすことなく、素晴らしいトラクションを得ている。

郊外のワインディングでは、この大きく、重いクルマを操るには、想像を超えた勇気を伴う。グリップと回頭性は良いのだが、我慢が必要である。

コーナーでは、ボディがロールし、ピッチングも激しく、減衰は緩慢な感じであり、ひと仕事を終えた後は、次に取り掛かる前に、それらが収束するまで待たなければならない。

すべがゴムに覆われているような感じであり、サスペンションやハンドリング、そして何をするにもぐしゃっとした感覚に襲われる。

つまり、GTS-Rは、メルセデス-AMG E63のような、超俊敏で機敏なレスポンスで応えてくれるクルマではない。しかし、ドライバーの運転スタイルを、このクルマのキャラクターに合わせて乗りこなせば、それなりに楽しめるのもまた事実である。

「買い」か?

「模範解答」に飽きたなら

VXR8 GTS-Rを正当化するものは、その強烈なキャラクターである。田舎道でBMW M5に出くわしたら、道を譲るであろう。

威勢のよすぎる格好のクルマに£74,500(1040万円)を費やす人はあまりいないと思われるが、ヴォグゾールは、15人のオーナーをみつければよいだけのことである。

今では、ありきたりになってしまったスーパーサルーンの代替として、奇妙でカリスマ的な何か特別なクルマを求めるなら、VXR8 GTS-Rは、おあつらえ向きである。ただ、相当の覚悟は必要である。

ヴォグゾールVXR8 GTS-R

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