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新型メルセデス・ベンツEクラスは未来型という位置付けでデビュー

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新型メルセデス・ベンツEクラスは未来型という位置付けでデビュー

メルセデス・ベンツEクラスの10代目W213型が国内デビューした。新型Eクラスのアウトラインはすでに掲載しているが、ここではもう少し詳しく見てみよう。

■新型Eクラスのラインアップ
W213型Eクラスは部分自動運転を含む未来型のエグゼクティブカーと位置付けられ、数々の装備が強化、新設されている。まずはグレード展開から見てみよう。

ラインアップには、E200アバンギャルドとアバンギャルド・スポーツがあり、274型2.0L直噴直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載し、2016年7月から発売されている。こちらの出力スペックは共に184ps/300Nmなので、アバンギャルドとスポーツの相違は装備になる。

また、同じE200には4WDの4MATICアバンギャルドがあるが、こちらは2016年10月以降の投入予定となっている。こちらも同様に2.0Lガソリンターボが搭載されるようだ。

そして新開発のディーゼルエンジン搭載モデルも10月以降に投入される。こちらはE220dの名称だが排気量は2.0Lの直噴直列4気筒ディーゼルターボで、194ps/400Nmというスペック。このエンジン搭載モデルもアバンギャルドとアバンギャルド・スポーツが用意される。

E250アバンギャルド・スポーツは2.0Lのガソリンターボを搭載したモデルで、E200より出力のある211ps/350Nmのスペックが用意される。こちらも10月以降の投入だ。

そしてE400 4MATICエクスクルーシブがトップグレードにあり、V型6気筒・3.5Lガソリンツインターボエンジンを搭載。333ps/480Nmという強力なスペックを持つモデルとなっている。また、このエクスクルーシブだけにスリーポインテッドスターがボンネットマスコットとして装備される。それ以外のモデルはフロントマスク内に収めたスポーツ・グリルとなっている。そして、いずれも9速ATの9G-Tronicを搭載している。

このラインアップからもわかるように、新型Eクラスはガソリンもディーゼルも2.0L・4気筒エンジンが基本となる。2016年8月の段階ではE200の2.0Lガソリンターボのみの販売展開で、あと4か月ほど待たなければならない。そして、この先はハイパフォーマンスモデルとしてAMGが追加されていくわけだ。

■注目は新型ディーゼル・エンジン
注目は新開発されたディーゼルエンジンだ。型式OM654型は新設計されたモジュール・エンジンで、シリンダーヘッドとクランクケースはアルミニウム製となっている。

このエンジンの特徴として、排ガス処理装置に新しくsDPFと呼ばれる複合型触媒が採用されていることだ。従来は酸化触媒の後方にDPFを設置し、排気管の一番後方にSCR触媒を配置していたが、このOM654型からはDPFとSCR触媒コンバーターを統合したsDPF=DPF with SCR Coating:選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルターを酸化触媒の直後に取り付けている。

簡単に言えば、ターボの直後に酸化触媒とDPFとSCR機能を持った触媒&フィルターを取り付けたということで、エンジン始動直後など排ガス低温度時の浄化効率を上げるために、ターボの直後に配置しているいうことだ。これからのディーゼルエンジン車には今後続々と採用される技術で、メルセデスのディーゼルも新世代となり、こうしたものに対応した形になったわけだ。

もうひとつ、特徴的なのは、シリンダー間のボアピッチを94mmから90mmへと狭く取ったことで、エンジン全体がコンパクトになっている。ボア×ストロークは82.0mm×92.3mmだ。そして最新の鋳鉄製のキャビティ構造をしたピストンを使用していることも特徴。さらにメルセデスが開発したNANOSLIDEシリンダーコーティングで摩擦抵抗を低減している。

そしてシリンダー縦軸がクランクシャフトの中心から吸気側へ12mmオフセットしていることも特徴だ。近年のエンジンは、クランクシャフト位置をオフセットしている傾向があるものの数mm程度が一般的で、10mm以上オフセットしているのは珍しい。そのため、ピストンヘッドの首振りの問題なども出てくるが、高強度・軽量なスチール製に、ピストン長も短くしている。さらにナノスライド加工で摩擦抵抗を減らす工夫で、オフセットによるデメリットを打ち消してしているようだ。

このOM654型エンジンはアルミブロック&ヘッドの採用やコンパクト設計のため、従来のディーゼルエンジンより17%=35.4kg軽量化され168.4kgとなっている。また、燃費とCO2排出量は従来型より最大4%低減できているという。日常走行ではこの低減幅はさらに大きくなるということだ。

■上質なインテリアデザインが自慢
新型Eクラス(W213型)は先代のW212型よりホイールベースが65mm長くなり、全長4923mm~4950mm、全幅1850mm~1852mm、全高1455mm~1480mm、ホイールベース2939mm~2940mmとなっている。正統派セダンのEクラスもロングノーズでややクーペライクなシルエットになった。

エクステリアでは、アバンギャルド、アバンギャルド・スポーツ、そしてエクスクルーシブの3つのモデルで細部におけるデザインに違いがある。しかし、印象として、フルモデルチェンジなのだが、W212型との違いやCクラス、Sクラスとの違いが分かりにくい。これは敢えて狙ったものだという。

新型Eクラスのアピールポイントのひとつがインテリアだ。Sクラスに匹敵する上質感があり、また、洗練されたスポーティ感も併せ持つインテリアが自慢だ。運転席に座るとまず12.3インチワイドディスプレイに目を奪われる。2つのディスプレイを一枚のガラスカバーで覆い、デジタル的な先進さを感じる。また、メーター回りは3パターンの表示デザインから選ぶことができる。

ステアリングにはタッチコントロール機能を世界で初めて装備した。スマホと同様にタテ・ヨコのスワイプに反応する機能を持っているため、ドライバーは多くのインフォテイメント機能をステアリングから手を放すことなく操作することが可能になった。

■先進の安全装備と自動運転技術
さて、部分自動運転や安全装備などドイラバーアシスト機能における世界初、ベンツ初などが満載されていることも新型Eクラスの特徴だ。

従来のディストロニックプラスにも装備されていた自動追従機能は、今回は渋滞時に停止した場合、30秒以内であれば自動発進するように機能が強化された「ディスタンスパイロット・ディストロニック&ステアリングパイロット」を装備する。



ステレオカメラとレーダーセンサーにより先行車を認識して、速度に応じた車間距離維持をしつつ、また減速もスムーズに自動減速する。作動範囲速度は0km/hから約210km/hまでで、設定可能な速度範囲は約20km/hから210km/hとなっている。

また、ステアリングパイロットは、従来の車線維持機能の強化で、先行車やカーブ、車線が不明瞭な場所、ガードレールを認識し、車間を維持しながらステアリング操作をアシストする機能だ。つまり、自動でカーブは曲がる機能を持つが、ドライバーがステアリングから手を放すとある一定の時間で機能は解除されてしまうので、あくまでもアシスト機能である。

■自動で車線変更する機能搭載
そして自動で車線変更する機能も追加された。これは「アクティブレーンチェンジアシスト」機能でメルセデス・ベンツでは初の搭載となる。高速道路を走行中にウインカーを2秒以上点滅させると、360度監視モニター情報をもとに、後方や側方、移動先前方の安全が確認されると自動で車線移動をする。こちらは前述のステアリングパイロットが起動しているときに稼働する。

これらの機能の応用版として、世界初の「アクティブエマージェンシーストップアシスト」が装備された。これは、ドライバーが運転中に気を失うなどしたときに、ステアリングパイロットが起動中、ハンドル操作をしない、アクセル、ブレーキ、タッチコントロールボタンの操作の反応がない場合、警告音を鳴らしながら、緩やかに減速して停止する。さらに、停止後はパーキングブレーキも自動でかかり、追突などの二次被害を防止する。

そして緊急回避補助システムもメルセデス・ベンツ初の搭載機能だ。これは、アクティブブレーキアシストの歩行者検知機能を補うもので、歩行者を避けるためにドライバーが操作したステアリング操舵トルクを計算し、操作をアシストする。また回避後の車線復帰まで同様にサポートする。この機能の作動範囲は約20km/hから70km/hとなっている。

もうひとつ世界初の機能として「PRE-SAFEサウンド」がある。これは、システムが不可避の衝突を検知すると、車両のスピーカーから耳の鼓膜の振動を抑制する音を発生させ、衝撃音の内耳への伝達を軽減するというものだ。ベンツの事故調査から得た情報で、事故時に耳への衝撃、その後の聴覚機能の不調という事態から、こうした機能を開発したということだ。

他にも自動駐車やマルチビームヘッドライトなど、さまざまな機能の強化が図られており、新型Eクラスは完全自動運転にまた一歩近づいた未来型に位置付けていることが良くわかる。


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