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「幻の名車」トヨタ2000GTボンドカーが並ぶ…トヨタ博物館・トヨタ2000GT 50周年オーナーズミーティング

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「幻の名車」トヨタ2000GTボンドカーが並ぶ…トヨタ博物館・トヨタ2000GT 50周年オーナーズミーティング

日本が空前の高度経済成長期を謳歌していた1967年、それは後の世で名車と呼ばれる事になる沢山の日本車が時を同じくして世に放たれた年でした。なかでも一際別格のオーラを放ち公称生産台数337台という希少性と謎に満ちた生い立ちから「幻の名車」と呼ばれたトヨタ2000GT、今年はトヨタ2000GTの発売50周年とあって各地でトヨタ2000GTの50周年を祝うイベントが開催され、そしてトヨタ2000GT 50の周年を祝うイベントの最後を締めるイベントが11月5日愛知県長久手市のトヨタ自動車博物館にて開催されました。

映画「007は二度死ぬ You Only Live Twice」の劇用車

クルマ文化をモノ語るイベントへ。トヨタ博物館・布垣館長へ独占インタビュー

今回のイベントでも最大の話題となったのは、映画「007は二度死ぬ You Only Live Twice」の劇用車として特別に2台だけコーチビルドされた事で知られるトヨタ2000GTのオープン仕様のうち、トヨタ博物館が所蔵してる実際に撮影用に使用された車両と長らく行方不明とされていた撮影予備車と言われているもう1台のトヨタ2000GTのレストアが完了し、トヨタ博物館で2台のトヨタ2000GTボンドカーが並んで展示されたということでしょう。





イベントに集まった名車たち

駐車場にも見学に来たクラシックカー愛好家の愛車と思しきクルマが並んでいました。

都市伝説的な2台目のボンドカー仕様トヨタ2000GTが並んでいる…

正面玄関前では場内パレードのゲートが準備されていました。まずは2台のボンドカートヨタ2000GTが並んでいるという新館へ向かうと…

2018年3月28日水曜日22:00 NHKBSプレミアム放映予定のファンタジードラマ「真夜中のスーパーカー」のプロモブースもありました。トヨタ2000GTが活躍するファンタジーを描いた作品とのことです。(http://www.nhk.or.jp/nagoya/supercar/)

長らく所在はおろか、現存しているかどうかもつまびらかではなく、時に都市伝説めいた話まであった2台目のボンドカー仕様のトヨタ2000GTがトヨタ博物館所蔵のトヨタ2000GTと並ぶ日が来る…正直なところ筆者もこの目でそれを見る日が来るとはまったく思ってもみませんでした。

こちらがトヨタ博物館所蔵で実際に撮影に使われたとされる車両のトヨタ2000GT。筆者の昔の記憶では過去にパールホワイトに塗装されていた記憶がありますが、その後何度か手直しを受けたようで、現在ではソリッドのホワイトで塗装されています。

こちらが今回お披露目となった「幻の」撮影予備車のもう1台のボンドカー仕様、まったくため息の出る美しさです。博物館所蔵車とは若干色味が違いますが、市販仕様の純正色の「ペガサスホワイト」のカラーコードから調色したものだそうです。

トークショーでは数々の秘話も明らかに

トークショーでは布垣トヨタ博物館館長の司会による2部構成で、1部は開発にかかわったトヨタワークスドライバーの細谷四方洋氏や津々見友彦氏による、トヨタ2000GTスピードトライアル秘話、2部はもう1台のボンドカーオーナーの方のレストアに関するエピソードで、あまりに濃密な内容ゆえに大幅に時間をオーバーしてしまうほどでした。

トヨタ2000GTは非常に空力性能に優れたデザインでウェット路面で巻き上げた水煙がここまでまったく乱れがないというのは現在のクルマでもなかなか無いそうで、細谷四方洋氏の著書「トヨタ2000GTを愛した男たち」によるとトヨタ2000GTのリアウィンドーの傾斜とプリウスのリアウィンドーの傾斜の角度はほぼ同じだそうです。

雨天時の最高速トライアルは、意外なことにバンクのほうが水が路面にたまらず風よけになるため意外と安定して走りやすく、逆に直線のほうが水膜ができやすくて横風にあおられやすい、スピードトライアル走行中は50rpm刻みで一定のペースを保たなければならない、晴天時は230km/h、雨天時でも210km/hの速度で巡行したなど、スピードトライアルで実際にトヨタ2000GTを走らせたドライバーの貴重な証言を聞くことが出来ました。

後半のボンドカー仕様のレストア秘話では、当初「2台あるとされていた」トヨタ2000GTボンドカーのうち、実際に撮影に使われたとされる車両はプロモーションで全国のイベント巡業で展示されたのち、ブルーに塗装された状態でハワイで発見され、トヨタが買い戻すことになるのですが、予備車として用意されたといわれるもう1台は富士スピードウェイでマーシャルカーとして使われ、(奇遇にも「もう一台」の個体もマーシャルカー時代にブルーに塗装されていたそうです)その後は解体処分されたとされ、後にある有名クラシックカー雑誌の廃車体の投稿コーナーにシートのかかったオープンボディのトヨタ2000GTの解体車の写真が投稿されたことがあるものの、その後の行方はつまびらかではなく、そもそもボンドカー劇用車は1台しか存在しなかったという俗説が流布したこともありました。

近年になり熱心なトヨタ2000GT愛好家である現オーナーのもとに、実際には長年某所に長年眠っていた2台目のボンドカー劇用車がこのままでは海外に流出してしまうかもしれないので買い取って日本にとどまらせてほしいというオファーがあり、レストアにとりかかったのだそうです。

外してあった部品はトランクの中に保管してあったそうですが、紛失してしまった部品も多く新たに作ったり、またベースが試作車のため市販車と互換性のない箇所も多く、欠損したリトラクタブルヘッドライトの片方に手持ちの予備部品を付けようとしたら付かなかった等、本来の市販車ではないがゆえの苦労も多かったようです。

007は二度死ぬの劇用車起用に当たっては、オープンボディ化したのはショーン・コネリーが映るようにというオファーがあったというのは有名ですが、実は当初はシボレー・カマロが劇用車になる予定だったのをトヨタ2000GTの開発者の河野氏が「日本が舞台の映画なので日本のスポーツカーを使ってほしい」とプロデューサーを説得し「一ヶ月以内にオープン仕様の劇用車を用意出来たら」という条件を取り付け横浜のトヨペットサービスセンターの綱島工場(レース好きの方なら「綱島ワークス」のほうがなじみ深いかもしれません)で急遽製作、幸いにもフルモノコックではなくX型バックボーンフレームだったこともありオープンボディに改造しやすかったという事情もあったそうです。

また、地味に苦労したのがカラーリングの再現のようで、劇中に登場するボンドカーは後にトヨタ2000GTのイメージカラーとなる白で、純正色ペガサスホワイトのカラーコードで調色したということなのですが、市販前の試作車ベースの劇用車の塗装色が市販車の同じカラーコードと同じ配合なのかを確認する術はなく、また筆者のセリカLBのレストア時にもいわれた事があるのですが、現在では当時と同じ顔料が手に入らない、塗料のベース材がラッカーからウレタン樹脂に変わった事でカラーコード通りに調色しても完全に当時と同じ色味には絶対にならないとのことで、はたして劇用車と同じ色が再現できたかはわからない、古い塗膜の中から過去にマルーンに塗装されていた形跡が見つかり、過去にショーカーとして使われていた個体を劇用車に転用した可能性があるなど、塗装ひとつとっても新しい発見と同時に謎が深まるというトヨタ2000GTの深淵の深さを見た気がしました。トヨタ博物館でもボンドカー劇用車のトヨタ2000GTに関してはまだまだ不明な点が多いのだそうです。

ちなみに、「007は二度死ぬ」はDVD化されたソフトが複数存在するのですが、現在流通しているソフトに収録されている日本語吹き替えは新録版で、テレビ放映版では丹波哲郎と浜美枝本人による吹替だった物が別の声優に差し替えられているため、とくに故丹波哲郎演じるタイガーの豪快な演技が堪能できるテレビ放映バージョンの日本語吹き替えが収録されたDVDソフトは現在絶版でありこちらもまたある意味トヨタ2000GT同様プレミア価格の「幻のDVDソフト」となっています。

もはや眼福。トヨタ2000GTの走行披露

午後からはトヨタ2000GTの走行披露が行われ、普段まず見る事のできないであろうトヨタ2000GTが快音をあげながら何台も博物館の周りを周回するという光景に誰もがくぎ付けとなっていました。

最近では某クラシックカー専門店が製作したトヨタ2000GTレプリカが話題となっていますが、この日の会場にあった車両はすべてオリジナルのトヨタ2000GTです。

展示エリアには20台ものトヨタ2000GTが集結するという夢のような光景が広がっていました。もはや、眼福という言葉以外に思いつく言葉がありません。

こちらは後期型、ちなみにフロントグリル横のフォグランプが小さく、ウィンカーレンズがクリアーからアンバーの大型レンズになっているのが一番わかりやすい初期型との識別点でしょう。

エンジンルームを見るとラジエターの前にクーラーコンデンサーとレシーバーがあったのでもしやと思ったらやっぱりありました、純正オプションのクーラーです。後期型にはシート後ろに設置されるという独特の純正クーラーがオプション設定され、オートマチックトランスミッション仕様も設定されます。

今なお斬新に映るトヨタ2000GTは時代を超えたスーパーカー

1976年生まれの筆者にとってトヨタ2000GTの存在を知ったときにはすでに過去の存在でしたが、今なお斬新に映るトヨタ2000GTは時代を超えたスーパーカーであり、小学生の時にその存在を知って一目で虜になりました。いつかはトヨタ2000GTのオーナーになりたいと夢見たこともありますが、年々その評価が高まりいつしか「トヨタ2000GTのオーナーになりたい」と夢見ていた事すら忘れていました。

今回のイベントも近寄りがたい雰囲気なのではないかと思っていました。でも、それは筆者の杞憂に終わりました。皆さんも見学に来た皆さんも「ただトヨタ2000GTが好き」それだけでこの場を共有するのに十分でした。「クラシックカーのオーナーになるのは縁」と言いますが、間近でトヨタ2000GTとそのオーナーと見ていて「筆者も何かの縁があればトヨタ2000GTのオーナーになる事があるかもしれないのでは」ふとそんなことを思いました。

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

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