全国のダイハツ販売店で「高齢者の事故低減」イベントが本格始動
軽自動車という日常的な足として活躍するクルマのスペシャリストといえるダイハツ工業が、交通安全のために、産官学民での取り組みを推し進めることを発表した。
そのメインターゲットとなるのは高齢ドライバーだという。人口構成比の影響も無視できないが交通事故における高齢ドライバーの比率が上がっているのは事実(ただし、絶対数はそれほど増えていないといえるが)。
交通事故全体の発生数が減っていくなかで、高齢者対策というのはポイントであり、また団塊の世代が65歳を迎えたことで、高齢ドライバーの対策は待ったなしといった状況だ。
さまざまな資料を見るとわかるように、若いうちは事故発生率が高いが、免許を取ってからしばらくすると事故を起こしづらくなり、75歳を超えると事故発生率は上がっていく。若者、高齢者とも共通しているのは予測も含めたスキル不足といえる。ただし、若者はスキルが上がる方向なのに対して、高齢ドライバーにおいては肉体的な衰えは避けられない。
さらに、自身の衰えに関する無自覚もあり、運転スキルを改善するというモチベーションは湧きづらいと考えられている。そこで、ダイハツが中心となるプロジェクトでは、「産=ダイハツと日本自動車連盟(以下、JAF)、官=地方自治体、学=理学療法士協会、民=地域社会」の連携により、高齢化が進む地域社会で「いくつになっても自由に移動 できる自立した生活」を「地域と連携してサポート」することを目指しているという。
具体的には、ダイハツが販売会社を拠点として交通安全を啓蒙する地域イベントを開催、地方自治体や 住民自治協議会が地域の高齢者など参加者を誘致、JAFによる安全運転講習会や、 理学療法士協会による運動指導などのカリキュラムを実施することが予定されている。
こうしたイベントを各地で開催することにより、日常生活における交通手段としてマイカーを使う地域に住む高齢ドライバーが 運転に必要な筋力や認知機能といったスキルを維持することで、事故低減を目指そうというもの。すでに2016年度内に三重県、広島県、静岡県で先行的に実施しているという同プロジェクト。そうした経験を活かして、いよいよ全国展開のフェイズに入ったというわけだ。
ダイハツは「スマートアシスト」を名付けた先進安全技術を拡大中。最新の「スマートアシストIII」はステレオカメラを使うことで歩行者も検知、80km/hからの自動ブレーキも実現している。
しかし、そうしたハードウェアの進化だけでなく、ドライバーへの啓蒙や基本的なスキル向上も忘れていない。機械と人間という両輪で安全志向を強めることで、交通事故を減らし、安全な社会へとつながることを期待したい。
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