ガソリンエンジンの性能向上は高圧縮比化が必須
ガソリンエンジンに関していえば、圧縮比が高いほうがエンジンの性能は高くなります。これはどのようなセッティングにしようとも、変わりません。レギュラーガソリン仕様よりも、ハイオクガソリン仕様のほうが圧縮比を高くできるので、高性能になるわけです。そもそもハイオクガソリンというのは、エンジンの圧縮比を高めて高性能化させるのが目的なので、当然といえば当然です。
実際のハイオクガソリン仕様の体感的なメリットは、高回転域の伸びと、低回転域のトルクにあります。つまりハイパワーなエンジンだけでなく、低回転を重視したいエンジンでも有効なのです。最近のトレンドであるダウンサイジングエンジンでは、ターボが装着されていることもあり、ハイオクガソリン仕様とすることが、性能でも燃費でも、そしてドライバビリティの面でも有利になります。
ここで問題になるのは、日本とヨーロッパのガソリンの違いですね。日本のガソリンはレギュラーがオクタン価89、ハイオクがオクタン価96となっています。(実際の市販ガソリンはこの数値を上回るオクタン価になっています)それに対してヨーロッパでは、ノーマルがオクタン価91、スーパーがオクタン価95、そしてスーパー+がオクタン価98となっています。
高性能スポーツカーにはスーパー+が指定される場合が多いのですが、ほとんどのクルマはスーパーが指定されています。そのため輸入車にはハイオクガソリンを使用することになるわけです。
日本メーカーもダウンサイジングターボを日本国内に投入し始めています。たとえばスズキは1リッター3気筒の直噴ターボをもっていますが、これを輸入車であるバレーノではハイオク仕様、日本製のスイフトではレギュラー仕様と、設定を変えています。
当然スペックはバレーノが上まわっています。しかし圧縮比やギヤ比やタイヤも完全に同じ、車両重量もほぼ同じ。それで燃費も同じという結果になっています。本来ならレギュラー仕様にするために圧縮比を低くする必要があったはずですが、それを可変バルブタイミングや噴射タイミングを変えることで対応したのでしょう。
日本車はガソリン価格の安いレギュラー仕様が大半になっています。ハイオク仕様は極めてマレな存在です。しかしエンジンの性能をより高めるためには、オクタン価の高いハイオクのほうが望ましいケースもあり、パワーもトルクも燃費も、良好になるのですが……。
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