グローバル規模の自動車部品&システムサプライヤーであるZF TRWは、2016年1月6日~9日にラスベガスで開催されたCES(国際 家電・エレクトロニクスショー)2016にスイスのリンスピード社が出展したスポーツPHEVコンセプトカー「Etos(イートス)」に搭載されている自動運転システム・コンセプトや先進安全システムを提供したと発表した。
独創的なクルマのコンセプトメイク、シンクタンクのリンスピード社は、これまで数多くのスポーツカーのコンセプトカーをジュネーブモーターショーに出展してきたが、今回はデジタル化された電動化スポーツカーにふさわしい舞台としてジュネーブではなくCES 2016が選ばれた。
近年はCESに自動車メーカーや自動車サプライヤーが先進ディスプレイや自動制御システムをデモンストレーションするために出展が相次いでいるが、リンスピード社もこの潮流をキャッチアップし、同社にとって22台目となるEtosは初めてCESでワールドプレミアを行なった。
リンスピード社はスイスにあるイノベーション・ラボで2シーター・スポーツカー「Etos」デザインし、アルミ製の骨格と樹脂製ボディパネルを採用したPHEVスポーツカーで、自動運転機能を備えている。Etosは1.5Lエンジンを搭載し駆動モーター出力は96kW、システム総合出力は362ps/570Nmの4WDとしている。ボディ後部のフラットな形状の大型ディスプレイ部にはなんとドローンの離着陸用スペースにもなる機能が備えられている。
そしてコクピットのステアリングホイールは、自動運転モードになると自動的に折り畳まれてダッシュボードに格納され、2人の乗員の前には大型のディスプレイが展開する。折り畳み式のステアリングシステム、つまりリトラクタブル・ステアリングホイールはZF TRWが提供したシステムだ。
このシステムはハンズオン・オフ検出機能を備えている。ドライバーはハンドル上部のドライバーモードマネージャー(DMM)ディスプレイで、運転を行なうか、自動運転にするかを指定できる。DMMの「Push to Drive」を選択すると手動運転を意味する「M」が点灯し、ハンドルから手を放すと自動運転を意味する「A」が点灯。そして、自動運転時にはステアリングホイールを折り畳み、ドライバーは運転以外のことを行なったり、リラックスした態勢で休むスペースが生まれるのだ。
ZF TRWのリトラクタブル・ステアリングホイールは、インテリアデザインの選択肢を広げるとともに、ドライバーに合わせてカスタマイズした環境を提供できる。また、ZF TRWはフロントシート用のエアバッグをルーフ部分に納めたルーフ・エアバッグも提案している。
ルーフ・エアバッグは、ZF TRWが開発し、量産化を開始した新しい形式のエアバッグで、従来のフロント・エアバッグと同等以上の乗員保護機能を持ちながらインテリアデザインの柔軟性を向上させることができるのがメリットだ。このルーフ・エアバッグは乗員前方のフロントガラスに沿って展開し、フロントシートに座る様々な体格の乗員の拘束、保護を行なうことができる性能を持っている。
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